【産業天気図・鉄道・バス】客数が底入れし「曇り」に改善、ただ回復ペースは緩やか
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
鉄道・バス業界は不況による旅客数の減少傾向が底打ちし、2010年4月~11年3月の業界景況感は「曇り」に一段改善しそうだ。ただ流通・ホテル等の事業は改善が見込めず、「晴れ」にはまだ遠い見通し。
10年3月期は上場JR3社、上場大手私鉄13社すべてが営業減益になる「雨」模様。不況に直撃され鉄道・バスの客数が減少。流通や不動産、ホテルなどの事業も不振だった。
10年4~9月は営業利益が好転し、前年同期比で増益になる会社が多い見通しだ。
鉄道客数の大幅な減少は08年秋から始まったが、10年1~3月で底を打った可能性がある。4月以降は前年同月比でプラスの数字が出る会社が増えてきそうだ。ただ、客数の回復力は強くない。
低調な個人消費を反映し、流通やホテルの改善ピッチも鈍い。増益率は小幅にとどまる。10年10月~11年3月も回復ペースは緩慢で、天気は「曇り」のまま推移する見込みだ。
上場JR3社の11年3月期は、前期比営業増益を予想している。鉄道の客数はビジネス需要の戻りが遅れるおそれがある。年末に東北新幹線が新青森まで延伸する効果はまだ小さい。
ただ、リーマンショック以降の大規模な雇用調整は一巡しており、大都市圏の通勤客は緩やかに上向く。JR3社の中では、東日本旅客鉄道<9020>の増益率が最も高い見込み。相対的に強い首都圏の需要を取り込めるうえ、10年3月期まで続いた退職給付関連費用(年間480億円)の計上がなくなるからだ
。一方、西日本旅客鉄道<9021>は、京阪神路線の苦戦などで営業利益は前期比強含み程度と予想する。