「麻雀小説家も神と祀られる」神社の意外な実態 新しい神が生まれる可能性はつねにある

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神体として最も名高いものは、皇室の象徴となる「三種の神器」である。これは、神話に出てくる「天孫降臨」の物語が関係しており、天照大神が瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)に授けたとされる。授けられたものは、「八尺瓊の勾璁(やさかにのまがたま)、八咫鏡(やたのかがみ)、草薙剣(くさなぎのつるぎ)」であった。

それは古事記での呼び方で、日本書紀の本文には採用されていない「一書」(別の文献に基づく記述)において、八尺瓊の曲玉、八咫鏡、草薙剣と呼ばれている。

三種の神器のうち、八咫鏡の実物は伊勢神宮の内宮に祀られている。天照大神の神体というわけである。草薙剣は、愛知県名古屋市の熱田神宮に祀られている。八尺瓊の曲玉は、皇居内の剣璽(けんじ)の間(ま)に祀られている。剣璽の間には、曲玉の実物とともに、草薙剣の形代(かたしろ)も祀られている。八咫鏡の形代は、皇居内に建てられた宮中三殿のうち、賢所に祀られている。

神体に鏡が多いのは伊勢神宮の影響

三種の神器が、このように、鏡、剣、曲玉からなり、鏡が伊勢神宮で神体となっていることから、一般の神社でも、鏡が神体として祀られていることが多い。その際には、本殿のなかに祀られることになるが、拝殿の前に置かれることもある。それは、神社を訪れたときに見かけるだろう。

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剣を神体とする神社としては、奈良の石上(いそのかみ)神宮が名高い。ここでは、神話にも登場する「布都御魂剣(ふつのみたまのつるぎ)」が神体として祀られている。現在は見られない形だが、平安時代から鎌倉時代にかけては、仏教の仏像の影響もあり、「神像」が神体として祀られていたこともあった。

神体には神が宿るとされている。ここで言われる、宿るとは「他の物の内にはいりとどまる」(『広辞苑』第5版)の意味である。神は、神体のなかにはいり、そこにとどまっているというのである。

ただ、神が神体に常に宿っている、常在しているかどうかということになると、その判断は難しい。神を祀るという場合、神事を行うことが前提であり、神事が行われる際には、そこに神が宿るが、神事が終われば、また天に帰っていくとも考えられるからである。

島田 裕巳 宗教学者、作家

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しまだ ひろみ / Hiromi Shimada

1953年東京都生まれ。東京女子大学と東京通信大学の非常勤講師。1976年東京大学文学部宗教学科卒業。1984年同大学大学院人文科学研究科博士課程修了。日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員などを歴任。著書に『創価学会』(新潮新書)、『戦後日本の宗教史』(筑摩選書)などがある。

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