「麻雀小説家も神と祀られる」神社の意外な実態

新しい神が生まれる可能性はつねにある

神体の形態はさまざまで、鏡であることが多いが、自然物、とくに山が神体と見なされることもある。神体と見なされた山は神体山、あるいは神奈備(かみなび)と呼ばれる。神体山は、神殿の背後にそびえている。

神社の一般的な概要図(画像:マイナビ出版提供)

阿佐田哲也大神の場合、神体は石碑の形をとっている。神体となった石や岩は「磐座(いわくら)」と呼ばれる。阿佐田哲也大神が石碑として祀られたのは、それがある伏見稲荷大社の信仰が関係している。

伏見稲荷大社は、その背後に稲荷山がある。これは神体山と言えるものだが、そのなかには、お塚が築かれている。お塚とは、神名を刻んだ石碑のことで、稲荷山には、このお塚が1万基以上あるとされる。おびただしい数のお塚が建ち並んでいる光景にはじめて接すると、異様なものを感じる。

平安時代には、伏見稲荷大社のもっとも重要な祭日である初午(はつうま)に、稲荷山をめぐる風習があった。そのことについては、清少納言が『枕草子』に記している。

ただ、清少納言は途中で疲れてしまい、二度と稲荷山に登ることはなかったものと思われる。それが稲荷山における古い信仰のあり方ということになるが、明治以降になると、数多くのお塚が祀られるようになっていく。

千本鳥居は明治以前にはなかった

伏見稲荷大社という名前を聞けば、多くの人は真っ先に朱色の鳥居が建ち並ぶ千本鳥居のことを思い浮かべるだろう。それは、今や伏見稲荷大社のシンボルともなっている。

だが、明治時代以前には千本鳥居は存在しなかった。江戸時代の絵図を見ると、そのことが確認できる。お塚に朱の鳥居を奉納するようになってから、千本鳥居が建てられるようになったものと考えられる。

阿佐田哲也大神が石碑として祀られているのも、お塚の信仰が背景にあるからである。

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