EVベンチャー、テスラが特許を開放する狙い

カリスマ起業家が仕掛けた大胆な戦略

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カリフォルニア州フリーモントにある工場

テスラは5月3日、午前8時~午後5時までフリーモント工場を開放し、ジョブフェア(就職促進会)の開催を予定していた。

だが、当日は早朝から就職志望者数百人が列を成し、会場に向かう高速道路も大混雑。あまりに人が殺到したため、テスラはジョブフェアを中止し、ネット上での応募受付のみに切り替えたほどの人気ぶりだ。

マスク氏は「僕たちの最終的な目標は、路上を走るすべての自動車を電気自動車にする」ことであり、「真の敵はガソリンエンジン車」と語る。テスラは2月、総工費約50億ドルのリチウムイオンバッテリー工場「ギガファクトリー」の建設計画を発表している。2020年に50万台のEV生産体制を作り上げ、価格は500万円以下にするという構想を描く。

特許権は放棄していない

話題の多いテスラだが、今回開放した特許を他のEVメーカーが採用するかは不透明だ。前出のキーズ氏は「注意すべき点は、テスラが特許権を行使しないと宣言しただけであり、放棄したわけではない、ということ。やろうと思えばいつでも特許権を行使できる」と話す。

テスラの買収防衛策と指摘する声もある。企業が買収する目的の一つに、買収先企業の持つ特許などの知的財産を獲得する狙いがある。特許を開放することで、テスラの知的財産(IP)の価値が希釈化され、企業としての魅力が薄れるという見方だ。

はたしてテスラの狙い通りに、EV市場は拡大するのか。また、自社の特許を公開しながら、どのように他社と差別化を図っていくのか。マスク氏の手腕に注目が集まる。

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