嵐の活動休止はジャニーズ事務所の危機なのか 「冬ドラマ主演10人」の営業力とたくましさ

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そこで注目してほしいのは、今冬の出演ドラマにおける、テレビ局、曜日、時間帯の振り分け。

冒頭に挙げた出演ドラマの内訳は、日本テレビがプライム帯1作(土曜22時)と深夜帯1作(月曜24時59分)、テレビ朝日系が深夜帯1作(土曜23時30分)、TBSがプライム帯2作(火曜22時と金曜22時)、MBSが深夜帯1作(木曜24時59分)、テレビ東京系が深夜帯1作(水曜24時12分)、フジテレビがプライム帯1作(木曜22時)、カンテレがプライム帯1作(火曜21時)、NHKがプライム帯1作(土曜21時)、NHK BSプレミアムがプライム帯1作(日曜22時)。

ジャニーズ事務所が「さまざまなグループのメンバーを各局、各曜日、各時間帯に振り分けることで、大量出演を実現させている」ことがわかるのではないでしょうか。各局の制作サイドから見たら、決して大量起用しているわけではなく、「ウチは1作しか起用していない」という状態にすぎず、批判を受けるほどではありません。

このような取引先(テレビ局)の売場(曜日)や商品棚(時間帯)を埋め尽くすような営業戦略こそ、ジャニーズ事務所の営業力を示すものであり、売上を伸ばすためにゴリ押ししているわけではないのです。これは裏を返せば、ある取引先との契約が不調に終わったとしても経営が危うくなることのない、安定性のある営業戦略と言えるでしょう。

そして、もう1つ特筆すべきは、“出演ラッシュ”の状態を作るタイミングの巧みさ。

現在は「2021年がスタートしたばかりの冬」ですが、年初に出演ラッシュを作ることで、「今年も“ドラマのジャニーズ”という印象をつけやすい」「在宅率の高い冬は視聴率や視聴回数が上がりやすい」「嵐の活動休止によるパワーダウンの印象をやわらげられる」などのメリットを得られています。

なぜ「バーター」をやめないのか

ジャニーズ事務所の営業力を語るうえで、最後に挙げておきたいのは、「バーター」の抜け目なさ。「バーター」は、人気タレントを出演させるときに、別のタレントを抱き合わせで出演させることを指す業界用語であり、「ジャニーズ事務所はこれが最もうまい」と言われています。

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