嵐の活動休止はジャニーズ事務所の危機なのか 「冬ドラマ主演10人」の営業力とたくましさ

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また、これ以外でも、1月3日、4日に放送されたスペシャルドラマ「教場Ⅱ」(フジテレビ系)でも、主演を木村拓哉さんが務め、ジャニーズWESTの重岡大毅さんとSnow Manの目黒蓮さんが出演していました。

「嵐がいなくなったジャニーズ事務所はピンチではないか」という声が挙がっていましたが、ドラマだけでこれだけさまざまなグループのメンバーを送り込み、さらにバラエティーや情報番組への出演もあるわけですから、「驚異の営業力」と言っていいでしょう。ネット上には「ジャニーズ主演の多さはテレビ局の忖度ではないか」という声もありますが、決してそうとも言えず、あくまで戦略に基づくものなのです。

「確実に見てくれる」視聴者層を持つ強み

まず前提として踏まえておきたいのは、ジャニーズ事務所の所属タレントが熱の高いファン層を持ち、楽曲、ライブ、グッズなどの販売力があること。

テレビ局にとってジャニーズ事務所のタレントは、「確実に見てくれるであろう視聴者層がいる」「熱の高いファンがドラマのPRに貢献してくれる」「自局系列の動画配信サービスにおける有料会員数を増やす」という意味で、それなりの計算が立つ存在なのです。また、SMAPや嵐のような国民的グループに成長する可能性を秘めた若手も多いため、「先行投資しておこう」という思いもあるでしょう。

もう1つ考慮しなければいけないのが、昨年春に視聴率調査が大幅にリニューアルされたこと。これによって年齢性別ごとの視聴動向が調べられるようになり、各局は大手スポンサーの好む13歳から49歳に向けた番組作りに舵を切っています。その年齢層に多くのファンを持つジャニーズ事務所のタレントが、ドラマに限らずさまざまな番組のオファーを受けやすい状況になっていることは間違いありません。

しかし、ジャニーズ事務所のタレントにとっての逆風もあります。それは最近の視聴者が「人気や外見より演技力を求める傾向が強くなっている」こと。各局の制作サイドとしては、「アイドルではなく俳優を起用しろ」「ジャニーズの人気に頼るな」という批判を受けるリスクがあり、かつてよりもジャニーズ事務所のタレントを起用しにくくなっているのです。

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