バルミューダ、一目置かれる「芸術経営」の神髄 電機大手も見習う手法、目指すは売上高24兆円?
1つが、規模の拡大だ。そのために足元で推し進めているのが、客単価のさらなる向上である。2020年11月に発売された掃除機は税込み5万9400円と、これまでのバルミューダ製品で最も高価な製品だ。同社は、本商品に続けていくつかの新製品を投入し、このクリーナー事業を100億円規模にまで育てる見込みだ。
単価向上のうえでは、上場前に展開してきた生活家電というジャンルにはこだわらない。「客単価の高いものは、一般的に技術の集積度が高いもの。基盤にいくつ部品が乗っているかが重要だ」(寺尾氏)。今後は、2020年6月に発売されたスピーカーのようなAV(オーディオ・ビジュアル)家電のみならず、「家電以外のこともやっていくと思う」と示唆する。
120億円の売上高を2000倍に?
さらに、顧客基盤の拡大にも資金を投入する。上場で調達した資金の使途の3分の1は、広告宣伝などのマーケティング費だ。実はこれまで、バルミューダはテレビなどのメディア広告をほとんど打ってこなかったという。
現在、同社のブランド認知度は5割弱だが、これは商品の口コミや、広報活動によるメディアなどへの掲載などによるものだ。今後は、マスメディア向けのCMを打つことで、同社の製品のイメージを直接訴えかける狙いだ。
寺尾社長は、同社の成長目標についてこう語る。「創業初年度の売上高は600万円だった。18年経った今年は約120億円。2000倍になっている。私のポリシーとして、『一度できたことは必ずもう一度できる』というものがある」
計算すると、売上高24兆円になる。もし実現すれば、日本のトヨタやアメリカのアップルの背中が見えてくる規模だ。壮大な目標だが、規模拡大の過程でバルミューダが核とする「芸術性」を際立たせ続けることができるかが問われる。
バルミューダの株価・業績 は「四季報オンライン」で
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら