バルミューダ、一目置かれる「芸術経営」の神髄 電機大手も見習う手法、目指すは売上高24兆円?
寺尾社長曰く、その1つが製品の「芸術性」を最高潮にまで高める工夫をしていることだという。たとえば、「そよ風のような扇風機」「窯から出したばかりのパンの味を再現するトースター」といったものだ。
これを担うのが、社長直轄の「クリエイティブチーム」だ。同チームでは、商品を購入することで消費者が得られる体験を設定する。それに基づいて、社内で「原理試作品」と呼ばれる製品の原型を作る。デザインを担うのもこのチームで、高年収の男性が多くを占める顧客から「デザイン家電」と支持される所以(ゆえん)はここにある。
芸術性を高めるうえでは、多くの場合で技術上の工夫が必要になるという。同社の場合は、エンジニアとクリエイティブチームが作った試作品とのすり合わせにより、短期間でブラッシュアップしていく。
カタログの表紙は「厚切りトースト」
トースターの場合は、「①水を投入して蒸気を発生させる②ヒーターの温度制御を細かく設定する」という2つの技術的な工夫をすることで、「窯から出したばかりのパンような味」を実現させた。
商品の見せ方にも工夫を凝らす。たとえば、トースターを発売したときは、商品のカタログの表紙に家電そのものを登場させず、焼けた厚切りトーストを並べた。
物語仕立ての開発背景も、バルミューダのブランド力を支える。たとえば、2020年11月に発売された掃除機には「これまでクイックルワイパー派で、掃除機を使うのがおっくうだった寺尾社長が、自分でも欲しいと思える理想的な掃除機を作り出すまで」という物語が用意されている。
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