コロナ禍「歩行数が減った人」を襲う老化リスク

足専門病院の医師が語る歩くことの重要さ

しばらくの間歩行数が減るのは仕方ない、と思っていませんか(写真:Ushico / PIXTA)

1月7日に、1都3県に再び緊急事態宣言が出され、再びテレワークの日々が始まった、という人もいるのではないだろうか。テレワークの実感的デメリットと言えば、何と言っても運動不足。通勤が減り、得意先まわりも減り、ランチに出かけることも減り……スマホに設定した歩数計のグラフがコロナ以降、L字に下がったままになっている人も少なくないだろう。

「たしかに先進国の人の歩行数はコロナ以降、世界的に落ちています。とくに日本では40代以降の中年世代の歩行数減少が顕著ですね」と、日本では珍しい足の病気に特化した病院、下北沢病院の理事長で、足病先端医療センター長を務める、久道勝也医師はそう話す。

ジムで運動するのと歩行は違う

例えば、アメリカの医学学術雑誌『Annals of Internal Medicine』がスマホのアプリを活用して世界187カ国を対象におこなった歩行数の調査では、世界保険機関(WHO)のパンデミック宣言が発令された3月11日以降30日間の1日平均の歩行数は、それ以前より1432 歩もの減少が見られたという。歩幅に個人差はあるが、1400歩といえば約1km歩く距離が減った計算になる。

歩行数が減ることの影響は少なくない。「歩行を維持することは、健康にとって重要な要素です。運動器官にとっていいのはもちろん、ストレス解消など精神面での効果も大きい。言うなれば歩行は、健康を維持するための主食のようなものなんです」と久道医師は言う。

下北沢病院理事長の久道医師(写真:東洋経済オンライン編集部撮影)

ジムで汗を流しているから、歩かなくても大丈夫、と思っている人もいるかもしれない。だがジムは、あくまでも健康にとっての“サプリ”のようなもの。「サプリだけで主食を補いきれないように、このまま歩行量が減った状態が続くと、中年世代のプレ老人化が早まって、健康上のダメージにつながる可能性が大きくなるのではないかと思っています」と警告する。

さらに今回やっかいなのは、歩行数が減ったことで、足の痛みなどのトラブルが軽減した人が多いことだ。足の痛みなどから解放され、歩行数が減っていることの長期的リスクに気がついていない中年世代も多い。

日本では「足の健康」に対する関心はまだ低いが、欧米では足の専門クリニックがあるなど、足をケアすることへの関心が高い。久道医師もアメリカで足病専門医「ポダイアトリスト」の存在を知り、超高齢社会に突入した日本にこそ、足の健康と歩行を維持するための病院が必要だと感じたという。

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