「ネガティブな経験をしたからこそ、他人の痛みやつらさを理解できるようになったと感じています。20代の頃はとにかくおちゃらけていましたから……。この年齢になってようやく瑠璃ちゃんのような人間的に豊かな女性と出会うことができました」
経験に基づいた自信と謙虚さがあって清潔感も漂う40代男性を、アラフォーの女性たちが放っておくはずがない。筆者が秀則さんをネット記事で紹介すると、すぐに数件のお見合い申し込みがあった。先述のマチコ先生がZoomにてお見合いをセットし、その後も双方の相談に乗るという流れである。
「ありがたいことに多くの女性とオンラインで会えることになったので、まずは誰に対してもフラットな感覚で接することにしました。瑠璃ちゃんにも同じです。悪い意味ではなく、スペシャルな気持ちはありませんでした」
ゆっくりと考えながら話しているようで率直すぎる秀則さん。一目ぼれではないことをなぜか強調する。
隣で苦笑している瑠璃子さんは知性と意志の強さが伝わってくるような小柄な女性である。実際に会うようになって、秀則さんはそこにほれ込んだという。
「僕のくだらない話をどんどん膨らませてくれるんです。話題がエンドレスに広がっていく。それだけのレンジと深みを持っているんですよ、瑠璃ちゃんは。そういう方が僕みたいなのを人として認めてくれたのがうれしいです」
瑠璃子さんは転職のため福岡から東京へ
やや浮かれ気味の秀則さんの話はこれぐらいにして、隣で冷静さを保っている瑠璃子さんの話を聞こう。大学院を出てから、2018年までは実家のある福岡県内の病院で専門職として働いていたという。
「福岡の中でも田舎のほうなので、男尊女卑の気風があります。家のことは女性がやるのが当たり前、という感覚です。私はそういう結婚は嫌なので、地域にずっといる気持ちにはなれず、お見合いなども気乗りしませんでした」
お年寄りの患者が多い病院ではなく、現役世代の健康に関わってみたいという意思もあった瑠璃子さん。医療系のコンサルティング会社に転職し、東京への引っ越しを敢行した。
「東京は男性が優しくて女性が強いな、と思いました。面白い仕事に就けて自分自身に満足できたのも、落ち着いて結婚を考えられるようになった理由だと思います」
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