女性には免罪符がなく、手抜きを許さない時代--『くらべない幸せ』を書いた香山リカ氏(精神科医、立教大学現代心理学部教授)に聞く
--まだ男性優位?
男性をめぐる社会の扱いに差がある。たとえばビル・ゲイツに対して、あの人はおたくでファッションもダサいなどと言う人はまずいない。カッコウの問題などどうでもよく、全人的にすごいよね、となる。このように男性はめざましい実績を残していれば、ほかのことは許されるところがある。
テロリストの味方か、さもなければアメリカの味方かというような、単純な2分法的な世界から発して、私はどちらでもない、あるいはもっとあいまいだ、とかそういう中途半端な立場がどこでも許されない。
特に女性は、性格的にはおとなしいが、こんなよいところもあるというような生き方が認められず、ばりばりやっているか、さもなければ負け組かみたいな、単純な勝ち負けに分ける2分法が横行している。
--男女が同じ基準で評価されない、と。
いままで日本人が刷り込まれてきたものを覆すのは難しいようだ。女性のほうもそういう時代が長く続いているので、かわいらしく振る舞い、男性に気に入られるほうが得と、対等に評価されることをハナからあきらめてしまう人たちもいる。
その人たちを非難するつもりはなく、それもサバイバルの方法だとは思うが。
--女性はことさらロールモデルを意識しますね。
女性の場合、時代によって継承される生き方が違ったので、その時代のシンボル的な人と、自分を比べてしまう人たちも少なくない。