「座り時間が長い人」死亡リスク減らす運動時間 1日1時間と言われたが、もっと短くていい

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続いて、研究者たちは死亡記録を調べた。被験者がそれぞれの研究に参加して以降の約10年間の記録を調べ、生活スタイルと寿命を比べた。被験者を、座っている時間および運動している時間に基づいて3分の1ずつのグループに分けて分析したところ、誰もが予想するとおり、座っている時間が極度に長い人が最も危険だった。

座っている時間で最上位のグループに属し、かつ運動している時間では最下位のグループに属する人たちは、最もよく運動し、座る時間が最も短い人たちに比べると、早くに死亡する確率は約260%高かった(研究者らは、喫煙や肥満度を表す指数のBMIなど、結果に影響する可能性があるほかの要因に関しては調整を行った)。

しかし、これ以外の座っている時間と運動している時間の組み合わせでは、あまり恐ろしい結果は見られず、むしろ元気づけられる結果が得られた。運動時間で中間の3分の1のグループに属する人々は、1日の運動時間が11分ほどだったが、その人たちは運動量がそれより少ない人たちに比べて、早く死亡する確率がはるかに低かった。たとえ、その人たちが座っている時間が最も長いグループに属していても、結果は同じだったのだ。

最も効果的なのは35分のきびきびした動き

研究者たちはさらに数字を分析し、運動時間と寿命の関係において最も効果的なのは、1日35分間、きびきびと歩くなどの適度な運動をすることだという結果にたどりついた。座っている時間の長さにかかわらず、この運動時間である場合に、最も寿命を向上させる効果が見られた。

もちろん、この研究はデータの分析に基づくものであり、運動をすることによって寿命が長くなることは証明していない。単に、身体的活動と座っていること、寿命とのあいだに関連があることを示しただけである。

しかし、この研究を率いたウルフ・エケルンドは、この研究結果が示すのは、もし私たちが1日中座って過ごすなら、私たちは意図して立ち上がり、動くべきだということだと言う。

エケルンドはノルウェー・スポーツ科学大学の教授で、疫学と身体的活動を専門としている。「きびきびと歩くことは、中程度の運動としてはとても優れた運動だ」。30分でも、あるいはそれ以下でも、私たちの寿命を延ばす効果があるかもしれないのだ。

(執筆:Gretchen Reynolds、翻訳:東方雅美)
© 2021 The New York Times Company

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