SHOWROOM前田社長が放つ、「プロ」の短尺動画

視聴者はみな心の空洞を埋めようとしている

その深さを刈り取るための1つの仕組みがSHOWROOMのギフティングであり、ライブコマースであり、時にはオンラインサロンやクラウドファンディングもそうかもしれない。何百万人もの幅の広い世界に上がることはできなくても、あるいは特にそれを望まなくとも、濃いファンを少数つけるだけで十分に生活していける世界になったら、個の可能性がぐっと開けてくる。

━━欧米でいえば、雇用を生み出す、創出する役割も兼ねているプラットフォームですね。演者との距離感はどう保ちますか。はっきり言えば、儲ける演者と儲けない演者がいると思いますが。

演者=ライバーが職業になりうるので、我々は職業教育だと考える。エンタメの領域のみならず、英語授業の提供など、非エンタメ領域でも、ライバーと何かをかけ合わせることも加速していくだろうし、幅広いジャンルに従事する人々が生計を得るための手段として、ライブ配信を認知していくだろう。

創業以来、われわれが最も重んじている軸は、「稼げるかどうか」でなく、その人が自分なりにでも「がんばっているかどうか」。がんばりがフェアに報われる場であり続けたい。たとえば、配信回数がものすごく多い配信者がいるなら、その熱量をきちんと何か形あるものに転換してあげたい。個人が好きなことをして、その中でスキルを伸ばし、ファンも増やして、しっかりマネタイズまで行き着く。そして、ライブ配信を手段にして、好きなことをして生きていく。

まだ認知度が決して高くない業界だが、ライブ配信が職業の選択肢の1つとして成立する世の中は、大変に明るく、温かいものだと信じている。

━━そうした演者のために環境を整備したり、サポートをしたりして、全体を底上げしていく。

まさしく、SHOWROOMはアワード表彰式を毎年やっているが、2020年は12月18日にオンラインで開催した。賞金総額は1000万円で、最優秀賞は300万円。創業以来、単に稼いでいるという子でなく、夢をかなえるために努力している配信者が表彰されている。

今回は、生きていくため夢をかなえるために必要な原資として、賞金をわたす。演者にしたら、たとえば100万円もらったら3カ月アルバイトをしなくて済む。するとその期間に本気で歌の練習ができる。

高収益を追う人、自己実現をしたい人

今年は賞金総額1000万円を準備した賞金制度「ミリオン=ブリッジ」を準備。年間表彰部門では、1年を通じファンからの支持が最も厚かった3人がアワードの場に立って、賞金300万円で何を実現したいか、プレゼンした。どの方のプレゼンも思いが強く夢を叶えたい情熱がひしひしと伝わってきた。このアワードをきっかけに、すべての配信者が、真剣に夢について考えることを大切にしてもらいたいと願う。

ライブ配信の市場は、「高収益」を稼ぎたいニーズと、もっと作品に出たい、有名になりたい、メジャーデビューしたいといった、いわば「自己実現」ニーズに分かれている。SHOWROOMは後者の夢をいちばん支えているサービスだと自負がある。でもそれだけでは食べてはいけない。夢をかなえつつ、それを職業にしていく。われわれが目指すところだ。

━━ウィズコロナ、アフターコロナを経て、これから消費者はエンタメとどう向き合うことになりますか。

個人の働き方が変わり、可処分時間は増える方向にある。エンタメに向き合う時間は増える。時間の向け先、心の向け先が重要だ。いい作品に出会えば心が揺さぶられるが、最終的に心の空洞を埋めてくれるのは「人」でしかない。だから、今まで以上に人のぬくもりを感じるプラットフォームを作っていきたいし、われわれが打ち出すサービスが、ユーザーのみんなにとって少しでも、このすさむ世の中における精神的支柱となれたらと切に願う。

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