役員大刷新でも晴れない富士通社長交代の真相
富士通が大幅な取締役の入れ替えを明らかにした。
3月24日、取締役9名のうち6名が6月21日開催予定の株主総会で退任し、新たに7人の取締役が就任すると発表。1998~2003年に社長を務め、現在も経営に大きな影響力を持つとみられる秋草直之取締役相談役も退任する。このため今回の人事を「経営刷新」と評価する向きも多い。
昨年9月に辞任した野副州旦前社長の辞任取り消し要求で混乱する富士通。3月6日には、野副氏の辞任理由を「病気療養のため」から「取引関係を持つにはふさわしくない企業と関係したため」に訂正し、詳しく経緯を開示した。
その後の大幅刷新だけに、一連の責任を取ったようにも見える。だが「秋草氏の取締役退任は既定路線であり、野副氏の問題と直接的な関係はない」(富士通)。引き続き常勤の相談役として、経営へ関与を続ける可能性がある。
そもそも秋草氏が取締役を退任しても、野副氏の辞任劇をめぐる不透明さはぬぐえない。会社側の開示内容について野副氏は、「取締役、監査役から注意したところ、野副氏もこれを認め、当該企業を当社プロジェクトからはずすと明言しました」という点と、「(9月25日の)野副氏の弁明は、当該企業の親会社自体は絶対当該事業に関与させてはならないと認識しており……」のくだりが、「完全な虚構」と主張する。あらためて当時の企業統治について調査をするべきと訴える。