すき家、「5月既存店8%増」のカラクリ 既存店の基準が4月から変わっていた!
昨年、通常営業していた店が一時休業をすると、営業日数や時間が減るため、前年同月比の売上高は落ち込む可能性が高くなる。しかも、今回のように一時休業する店が相次ぐと、全体の既存店売上高のマイナス要因が一段と大きくなる。これが「前年との比較に誤解を与えるおそれがある」とゼンショーが言う部分だろう。そこで、マイナス影響を除去するため、一日でも休業したり営業時間を短縮した店は、「既存店」としてカウントしなくなったわけだ。
ゼンショーは新しい基準でカウントした4月、5月の既存店数を開示していない。ただ、従来基準では4月の既存店数は1863店だという。同月は400店以上が一時休業・休止、営業時間を短縮しているため、新基準での既存店数は1500を割り込む計算になる。
既存店8%増、全店は4%減
すき家の2013年5月の既存店売上高は、吉野家が牛丼の値下げを実施した時期と重なり、前年同月比で8.8%減と落ち込んだ。前年のハードルが低かったため、14年5月の増加率が高くなった側面もあるだろう。ただ、現在でも人手不足は解消できておらず、一時休業店がある。5月の既存店の前年同月比を従来の基準で計算すると、休業店の多さが影響し、新しい基準の8.1%増よりも小さくなると考えられる。
外食業界では、既存店売上げの推移から成長の度合いを見るのが一般的だ。すき家の場合、新基準でカウントした既存店が堅調なのは確かだが、それだけでトレンドを判断するのは適切でない。実際、「一時休業による売上影響については全店売上高を参考にしてほしい」(ゼンショーHD・広報室)という。既存店は前年同月比8.1%増だが、5月の全店売上高は4%減。見え方はガラリと変わる。
13年度のすき家の店舗純増は71(出店85、退店14)。14年度も純増60(出店60、退店ゼロ)を計画しており、4月、5月で10店オープンした。新店を加味しても、一時休業や休止店が多いことから、全店売上高ではマイナスになったといえる。6月10日現在、人手不足で休業している店は28店、改装で営業を休止しているのは102店。こうした店舗がいつ再開するのか。既存店の動向だけでなく、全店売上高がいつ前年を上回るのかが、回復を見定めるポイントになる。
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