安倍前首相、「すべて秘書が」で逃げ切れるか

検察は不起訴処分でも削がれる政治的影響力

一方、最大の焦点だった国会招致については、安倍氏側が24日、大島理森衆院議長に「国会答弁に誤りがあった。訂正の機会をいただきたい」と申し出て、大島氏が検討を指示したこと一気に進んだ。

25日の議運委での質疑もNHKなどが生中継したが、野党の追及は24日の記者会見をなぞるような内容に終始。安倍氏の答弁なども繰り返しが多く、盛り上がりに欠けた。

衆参両院でそれぞれ1時間余にわたって行われた質疑は、衆院では立憲民主の辻元清美と黒岩宇洋両氏、共産党の宮本徹氏ら、2019年から桜疑惑を追及し続けた面々が改めて安倍氏の見解を質した。

かみ合わない衆参の質疑

とくに辻元氏は「民間会社で社長が嘘を言えば、辞職が当然で、会社もつぶれる」などと繰り返し議員辞職を迫った。安倍氏は「結果として間違った答弁をした責任は私にある」としながらも、24日の記者会見と同様に「一層身を引き締め、研鑽を重ねる」などと議員辞職を否定した。

参院では立憲民主の福山哲郎幹事長が追及に立ち、「答弁訂正で済む話ではない。審議時間を返せ」などと激しい口調で責め立てたが、安倍氏は淡々と同じ答弁を繰り返した。また、2019年11月に疑惑発覚の端緒となる質問をした共産党の田村智子副委員長も「訂正した収支報告書も不明な部分ばかりだ」などと細部にわたって追及したが、質疑はほとんどかみ合わなかった。

今回の一連の経過を振り返ると、捜査を進めてきた東京地検のリークによるとみられるメディアの報道が先行。政権擁護派とみられていた読売新聞やNHKが、補填金額の内訳やホテルの領収書の存在などを競うように独自報道した一方、政権批判派とされる朝日新聞が早々と「後援会代表の公設第1秘書が略式起訴、安倍氏は不起訴」などと報じるなど、「違和感だらけの報道合戦」(自民長老)が展開された。

その間、菅首相らは国会での野党の追及にも「捜査中なので答弁は差し控える」とガードを固めていた。ただ、政界では「官邸が検察の動きを知らないわけがない」(立憲民主幹部)との声が支配的で、与党内でも「検察のリークは官邸と連携したもの」(閣僚経験者)との見方が広がるなど、「真相解明より政治的幕引きばかりが目立った」(同)のは否定しようがない。

検察が捜査終結を明らかにした24日午前には、菅首相は都内のホテルで講演中だった。講演後の質疑で捜査終結への見解を問われた菅首相は、「内容を承知していない。安倍前首相から説明があると思う」と素っ気ない応答でかわした。ただ、菅首相は前日の23日午前に上川陽子法相と密談しており、「そこで、検察の対応の報告を受けたはず」(与党幹部)と指摘する声もある。

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