安倍前首相、「すべて秘書が」で逃げ切れるか

検察は不起訴処分でも削がれる政治的影響力

12月25日の衆議院議員運営委員会で経緯を説明する安倍晋三前首相(右手前、写真:時事)

安倍晋三前首相が12月25日、いわゆる「桜」疑惑で国会招致に応じ、同疑惑をめぐる国会での「事実に反する答弁があった」と虚偽答弁を認めて訂正・謝罪した。

国会での首相答弁の全面的な訂正、謝罪は前代未聞のことで、安倍氏の政治的・道義的責任は極めて重大だ。菅義偉首相らは「これで『桜疑惑』には政治的区切りがついた」と幕引きモードだが、菅首相の政権運営にとって大きな打撃となるのは確実だ。

年明け以降の政局に不透明感

安倍氏の国会招致が決まったのは、全国のコロナ感染者数が3740人の最多記録を更新したクリスマスイブの24日。事前報道通りの展開に、政界では「政権と検察当局のなれ合いによる落としどころ」(閣僚経験者)と勘繰る向きも多かった。

今回の国会招致は、コロナ対応の迷走による支持率急落で苦境に立つ菅首相にとって、前政権の「負の遺産」を処理する一環ともなった。菅首相は2021年9月の自民党総裁選で再選を狙い、そのための「安倍封じの思惑もにじむ」(自民長老)。

一方、25日には吉川貴盛前農水相(22日に心臓病を理由に議員辞職)の議員会館事務所などが家宅捜索された。政府のコロナ対策の迷走とも合わせて、年明け1月18日召集予定の次期通常国会で、野党が激しく政権批判を繰り広げるのは必至だ。支持率急落で自民党内には「反菅ムード」も広がり始めており、年明け以降の政局展開は一段と不透明感が増している。

安倍氏の桜疑惑が大きく動いたのは24日昼前のことだった。桜を見る会前日に主催した夕食会の費用補填問題を捜査してきた東京地検特捜部が、後援会代表の配川博之・公設第1秘書を政治資金規正法違反(不記載)の罪で略式起訴し、安倍氏については嫌疑不十分で不起訴処分にした。配川氏は罰金100万円を即日納付したことで、一連の捜査が終結。配川氏は辞職した。

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