安倍前首相、「すべて秘書が」で逃げ切れるか

検察は不起訴処分でも削がれる政治的影響力

安倍氏は、費用補填問題が発覚した2019年11月以降、国会での質疑や記者会見などの場で、「補填などの事実はまったくない」と繰り返し否定してきた。しかし、24日夕に開いた記者会見では「すべて秘書がやったことで、まったく知らなかった」と釈明したうえで、「国民の皆様や与野党すべての国会議員に対し、深く深くおわび申し上げる」と繰り返した。

記者会見場に白いマスク姿で登場した安倍氏は冒頭の数分間、手元のメモに目を落としながら、虚偽答弁に至った経過について「秘書の報告を信じていた」と連発し、自らの政治的道義的責任は「極めて重い」と繰り返した。ただ、離党や議員辞職については「国民の信頼回復に努めて、職責を果たしたい」と否定して、首相経験者としての影響力保持への執念をにじませた。

会見参加者は記者クラブに限定

記者会見は合計1時間余り。参加者は自民党記者クラブ所属の記者24人に限定された。安倍政権時代の官邸官僚が司会を務め、「会議室の使用期限があるので」と言って会見を打ち切るやり方も含め、「まるで(前政権の)再現ドラマ」(閣僚経験者)のような情景が続いた。

安倍氏は、118回にものぼったとされる虚偽答弁の原因について、「総理大臣としての職務に専念をしており、すべて責任者に任せていた」との釈明を繰り返した。前夜祭の会費5000円についても「5000円ですべて賄っていたという認識で、秘書に何度も確認した」と説明したが、「結果的に自腹を切って経費を補填したのなら、公職選挙法違反になる」などと突っ込まれると、メモを確認しながら言葉に詰まる場面もあった。

ただ、記者団の追及はほぼ同じ質問の繰り返しに終始し、「首相再登板の可能性」を質問する記者もいた。安倍氏も「まずは国民の信頼回復に全力を注ぐ」と再登板を明確に否定せず、記者会見場に嘆声も広がった。

会見はネットで生中継され、安倍氏が「秘書が…」を繰り返すと、「恥を知れ」「すぐ議員辞職しろ」などの書き込みがあふれた。その一方で「アベちゃん頑張れ」などの書き込みも多く、前政権時代の「親安倍VS反安倍」の構図が改めて浮き彫りになった。

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