安倍前首相、「すべて秘書が」で逃げ切れるか

検察は不起訴処分でも削がれる政治的影響力

その菅首相も、官房長官時代に安倍氏の説明をなぞる答弁を繰り返してきた。24日夜にインタビューに応じた菅首相は「国会において安倍前総理が説明を行ってきたことと事実が違っていた。ここについては重く受け止めたい」と述べ、「必要に応じて前総理に確認しながら答弁した」と繰り返した。

事実と異なる答弁をした原因についても、「私はよくわからない」と答えた一方、「政治の責任で再調査する考えは」との質問に、「(国会で)質疑応答がきちっと行われてきている。(再調査の)予定はない」と素っ気なく否定した。

野党は追及継続の構え

安倍氏の会見と国会招致を受けて、自民党内には「とりあえず区切りがついた」と安どの声が広がる。年内に安倍氏招致を実現させなければ、次期通常国会で政権が追い詰められる不安が解消したからだ。26日から事実上の17連休に入るだけに、与党は「コロナの感染拡大は簡単には収まらないが、狂い咲きだった『桜』は年明けには過去の話になる」(自民幹部)と見る向きが多い。

これに対し野党側は「憲政史上の汚点になった。しっかりけじめをつけなければならない」(立憲民主)などと、次期通常国会で安倍氏追及を続ける構えだ。野党側は「安倍氏がすべて秘書のせいにしても、国民は絶対に信じない」と口を揃え、特に、前夜祭での経費補填だけでなく、巨額な税金が投入された桜を見る会での地元関係者の大量招待は「明確な公職選挙法違反だ」と攻撃する。

そうした中、今回の不起訴処分については、刑事告発した弁護士らが検察審査会による「不起訴不当」を目指して動き出した。折しも、賭けマージャンによって賭博容疑で告発され、不起訴処分となった黒川弘務・元東京高検検事長について、東京第6検察審査会が23日付けで「違法行為を抑止すべき立場で、社会に与えた影響は大きい」として起訴相当を議決した。安倍氏についても「近い将来に検察審査会で起訴相当の議決が出る」との見方がある。

それゆえに、不起訴となっても安倍氏は表立った政治活動を自粛せざるを得ない。菅政権発足後には「2021年4月には細田派に復帰し、領袖となる」とのシナリオが取り沙汰されていたが、「当分は無派閥のまま」との声が広がる。他派閥からは「院政どころか、当分は閉門蟄居で、(2021年)9月の総裁選でも動けない」との厳しい声も出る。

首相は年末の講演などで、GoTo停止への理解を求めるとともに「これ以上の感染拡大を食い止め、経済をコロナ前の水準に回復させる」と繰り返すが、今のところ事態改善の兆しはない。なお続く支持率急落に合わせて自民党内では「反菅ムードが広がり始めている」(若手)とされ、年明け以降もコロナ感染拡大が止まらなければ「(菅首相は)9月の総裁任期切れの前に政権危機を迎えかねない」(自民長老)との見方も出始めている。

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