川崎市「保育園落ちた」子が待機児童の200倍の訳 2015年に「待機児童数ゼロ」達成したものの…

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川崎市の2020年度の「園庭保有率」は70.7%で、横浜市とほぼ並んでいます。川崎市は、人口密度が高く、土地の確保が困難であることを待機児童対策の課題に挙げています。今後、保育ニーズが高い主要駅周辺の整備を進めるときに園庭を確保できなければ、園庭保有率は低下していく恐れがあります。

一方で、川崎市は、待機児童対策とともに、次のような保育の質の維持・向上策も掲げています。

・保育所等の新設や運営法人の選考にあたっては、有識者が参加する選考委員会を開く
・各区の公立保育園が、民間の認可保育園の支援や指導をしたり、公民の交流によって保育技術を共有したり、公開保育で学び合ったりして連携して人材育成を行う
・政令市である川崎市は自身で認可外の指導監査権限をもち、認可外保育施設244カ所すべての立ち入り調査・指導を実施している

急激な待機児童対策によって、川崎市においても保育事業者が多様化しており、このような施策は非常に重要といえます。

保育料最高額は8万円台

川崎市の保育料は、平均と比べると高めです。認可の保育料は自治体が独自に決めており、3歳以上児は無償(別途、食材料費の負担あり)、3歳未満児は世帯所得によって額が異なります。川崎市の3歳未満児の最高所得階層の保育料は8万2800円(世帯市民税所得割額47万5300円以上)で、調査対象100市区では8番目に高い額になりました。保育園を考える親の会では中間的な所得階層*の保育料も調べていますが、川崎市は3万3300円で、有効回答98市区の平均(3万0587円)を上回っています。

*中間的な所得階層=所得控除前の年収が夫525万9156円・妻100万1161円、夫の社会保険料額を73万6282円、子ども1人とした、第1子保育料(総務省「家計年報」を参考に設定)。

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