川崎市「保育園落ちた」子が待機児童の200倍の訳 2015年に「待機児童数ゼロ」達成したものの…

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点数化の方法は自治体によって異なります。川崎市の選考は3段階の判定があるのが特徴です。保育の必要性の理由や勤務時間などで判定するランク(基準指数)がA〜Hの8ランクあり、父母のうち低いほうのランクが適用されます。同ランクになった子どもについて、主に世帯の状況について判定する指数(調整指数)で優先順位をつけます。さらに、同ランク・同指数になった子どもについて、主に子どもの状況について判定する項目点で優先順位をつける、という形です。

ランク(基準指数)では、勤務時間が長い世帯が有利である点はほかの自治体と同様ですが、同じ勤務時間では「居宅外労働(自営以外)」と「自営(中心者)」が同じランクになり、「自営(協力者)」はランクが1段階低くなります。つまり、自ら自営業を営む場合は居宅内外を問わず会社員などと同じ扱いで、配偶者や親族が営む自営業の協力者である場合には優先順位が下がるということです。また、指数(調整指数)の判定では、とくにひとり親世帯の加点が手厚く、指数が同点で並んだときは、まず「子どもが3人以上の世帯」、次に「世帯所得が低い世帯」を優先されます。

川崎市の場合、認可外保育施設の利用や上の子が在園していることによる加点は、同ランク・同指数になった場合の項目点(3段階目)での加点になっていて、ほかの自治体に比べると、これらの加点の影響は小さいと言えます。川崎市の入園選考は、世帯や子どもの困窮度をより重視する傾向にあります。

待機児童対策を進めながら保育の質も守る

国は認可保育園の園庭の広さについて、「2歳以上児1人につき3.3㎡の屋外遊技場が必要」としていますが、近くの公園等での代替も認めています。保育園を考える親の会では、認可保育園のうち基準を満たす広さの園庭を保有する園が何%かという「園庭保有率」を独自に調査しています。都市部では、この園庭保有率が年々低下していて、園庭のない認可保育園が急増しています。

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