菅首相、政権危機で急浮上する「4月政変説」 コロナ対応迷走で支持率急落、解散断行で勝負
そうした「八方塞がりの状況」(自民幹部)を打開するために、菅首相の周辺からは「解散断行で勝負をかけるしかない」との声が出始めている。併せて「成果が上がるのを待っていたらタイミングを逸する」(自民選対)との読みから、一番早い4月選挙説が浮上してきたのだ。
首相周辺の話を総合すると、4月選挙は次のようなシナリオだ。最大限のコロナ対策を盛り込んだ第3次補正予算と新年度予算を早期に処理したうえで、年度内に予算関連の「日切れ法案」とともに、都道府県知事からの要望が強いコロナ特措法改正案も成立させる。そして、4月初旬に解散して大型連休前の4月25日投開票に持ち込む、というものだ。
4月選挙の背景にしたたかな政局勘
この戦略の背景には、菅首相のしたたかな政局勘がある。12月24日の講演では、コロナ対策の決め手としてワクチン接種の効用を力説。「2月中に安全性の検証など結果が出るのでは」と語り、年度内の接種開始への期待をにじませた。それが実現すれば、2021年3月に最終決定される見通しの夏の東京五輪開催の道筋も開け、国民の安心感が拡大して経済活性化も進められる、という読みだ。
しかも、安倍晋三前首相の桜疑惑に続いて、検察が本格捜査に乗り出した吉川貴盛元農水相が心臓病を理由に議員辞職。それに伴う4月25日の衆院北海道2区の補欠選挙も吸収できる。
さらに、元法相の河井克行被告が現職の衆院広島3区や、IR事件で法廷闘争を続ける秋元司被告が現職の衆院東京15区で自民が負けても、「選挙全体の結果によって、個別のケースは注目されなくなる」(自民選対)という利点もある。
選挙で自民党が勝てば、安倍前政権以来の負の遺産とされる、スキャンダルに関係する議員は、安倍氏も含めて「禊を済ませた」(自民幹部)ことになり、菅首相は求心力を回復、9月の自民総裁選での再選にも弾みがつく。
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