菅首相、政権危機で急浮上する「4月政変説」 コロナ対応迷走で支持率急落、解散断行で勝負
コロナ禍に苦闘し続けた2020年が終わり、「すべてはコロナ次第」(首相経験者)となりそうな2021年の政局。その最大の焦点は衆院解散・総選挙の時期となりそうだ。
菅義偉首相の選択肢は極めて限られるが、コロナ対応に迷走し、年末にかけての内閣支持率は急落。「菅首相が予算成立後に解散、4月25日投開票を模索し始めている」(自民幹部)との臆測も広がっている。
政府は、次期通常国会を2021年1月18日に召集し、冒頭で第3次補正予算を成立させたうえで、新年度予算の年度内成立を目指す方針だ。このため、一時取り沙汰されていた年明け解散説は消滅し、菅首相による解散・総選挙の選択肢は「予算成立後」「通常国会会期末」「東京五輪後」の3つに絞られた格好だ。
浮上する「菅降ろし」の動き
菅首相はもともと、9月の政権発足時から「実績を積み重ねたうえで国民の信を問う」と考え、首相就任前に「9月の臨時国会冒頭解散ー10月25日衆院選投開票」の選択肢を消した。そのうえで、公約に掲げた携帯電話値下げとデジタル庁の創設、不妊治療の保険適用という「3大スガ案件」の実現に邁進。それと並行してコロナ感染拡大阻止に「政治資源のほとんどを投入」(官邸筋)してきた。
携帯料金値下げなどの公約は、担当閣僚が「菅さんのスピード感に追いまくられている」(平井卓也デジタル担当相)と嘆くほど実現に向けて作業は順調に進んでいるように見える。しかし、政権最大の課題である「コロナ感染防止と経済の両立」は11月以降の感染急拡大で崩壊し、肝いり政策だったGoToトラベルも12月14日に全国一旦停止決断に追い込まれた。
このコロナ対策の迷走に、就任時歴代3位とされる平均70%前後だった内閣高支持率は急落。年末には支持と不支持が40%前後で拮抗する状況となった。わずか3カ月余りで支持率がこれほど大幅に急落した例は過去にもあまりない。
年末には自民党内でも「菅政権がこのままじり貧状態になれば、選挙の顔にはならない」(閣僚経験者)との声が広がり、9月の自民党総裁選をにらんでの「菅降ろし」のうごめきも始まった。GoTo停止にもかかわらず、年明け以降もコロナ感染拡大の歯止めがかからなければ、「肝心の経済活性化も絵空事」(財務省幹部)となり、政権批判が加速しかねない。
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