三井化学「カーボンニュートラル」で示した本気 業界大手の中でいち早く2050年の目標を宣言

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橋本社長はコロナが変えた事業環境や気候変動への対応について、「前向きにチャンスとして捉えたい」と語った(撮影:今祥雄)
2020年は化学メーカーにとって、新型コロナウイルスによる事業環境の変化だけではなく、各国が次々に打ち出す環境政策にも向き合う転換点となった。日本政府が同10月に宣言した「2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること)を実現する」という方針を受け、化学業界大手の中でいち早く同じ目標を掲げたのが三井化学だ。2020年からトップに就いた橋本修社長に話を聞いた。

厳しさもあるが、チャンスでもある

――2020年4月に社長に就任し、今年を振り返るとどうでしたか。

4月はもうコロナの最中だったので、就任のあいさつ会もなければ新入社員へのあいさつもなければといった感じで、スタートから非常に不自由だった。同時に、ポストコロナとかアフターコロナをにらんだときに、世の中がいろいろ変わるきっかけになる1年だっただろうなとも考えている。

11月にはアメリカの大統領選があり、日本も菅義偉首相になり、流れが微妙に変わってきている。特にESG(環境・社会・企業統治)とかSDGs(持続可能な開発目標)にフォーカスしたところでいえば、気候変動の問題や廃プラの問題といった点、特に気候変動のところはアメリカではこれから民主党政権になってドライブがかかっていくだろう。

菅さんも先日、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言された。そういう意味で潮目がいろいろな意味で変わってきている。その変化をうまく捉えなきゃならないという意味での厳しさがあるが、逆に言えばうまくやればオポチュニティー(好機)が出てくる。チャンスでもあるので、前向きに考えていきたい。

――菅首相の宣言を受けて、11月下旬に開いた経営概況説明会で、三井化学も2050年までにカーボンニュートラルを実現するという目標を発表しました。

ESGやSDGsを考えたときに社会課題はたくさんあるが、化学企業としてきっちり責任を果たしていかなければいけないと思っている。「カーボンニュートラルを目指す」とは言ったが、まだ具体案が緻密に詰まっている段階ではない。

ただ、これまでやってきて実績のあるようなアクティビティの中で、それをいくつか積み上げていく。また、そこに新しいアイデアも加えていくことで、可能性を追求していきたい。

環境対応の分野は、マネタイズすることが非常に大変だ。そのため普通は、放っておくとプライオリティがどんどん下がっていってしまう。だから、やっぱりきっちり宣言しておかないといけない。「これを本気でやるんだ」という意味も込めて、経営概況説明会で話した。

この記事の続きは東洋経済プラスの短期連載「新社長12人 2021年の展望」で無料でお読みいただけます。連載では以下のトップインタビューも配信しています。

①インタビュー/日本ペイントホールディングス・田中正明社長
②インタビュー/クボタ・北尾裕一社長
③インタビュー/カゴメ・山口聡社長
④インタビュー/三井化学・橋本修社長
⑤インタビュー/岩谷産業・間島寛社長
奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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