三菱ケミHD、「外国人社長」起用に浮かぶ危機感 ベルギー出身・ギルソン新社長が担う課題

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記者会見に臨んだ三菱ケミカルホールディングスの越智仁社長(左)と、新社長に就任するギルソン氏(中央画面)ら(記者撮影)

国内最大手の総合化学メーカーが、異例ともいえる人事に踏み切る。

三菱ケミカルホールディングス(以下、三菱ケミHD)は10月23日、2021年4月1日付で越智仁社長が退任し、ベルギー出身のジョンマーク・ギルソン氏が後任に就く人事を発表した。

同社が、社外から外国人のトップを招聘するのは初めてのことだ。越智氏は2021年6月の株主総会を経て取締役も退任する。

ビジョンや知見を重視して選考

三菱ケミHDが東京都内で開いた会見で、指名委員会の委員長を務める橋本孝之・社外取締役(日本アイ・ビー・エム名誉相談役)は、「今の総合化学の延長ではなく、ポストコロナもにらみ、ライフサイエンス、ヘルスケア、機能科学をつくるための新しいビジョン、知見があるかなどを重視した」と選考理由を述べた。

オンラインで出席したギルソン氏は「収益性の向上とポートフォリオ変革に注力していきたい。海外での事業拡大も目指していく」と意気込みを語った。

ギルソン氏は56歳で、欧米の化学メーカーで事業責任者や経営トップを歴任してきた。現在はフランスの化学メーカー、ロケット社でCEO(最高経営責任者)を務めている。

三菱ケミHDが社内からの昇格人事や社外ですでに経営実績を持つ日本人ではなく、社外の外国人トップを選んだ背景にあるのは、大きな危機感だ。

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