三菱ケミHD、「外国人社長」起用に浮かぶ危機感 ベルギー出身・ギルソン新社長が担う課題

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会社全体の売上高も、2018年度の3.9兆円を2030年度に6兆円へ、1.5倍以上にする目標だ。つまり、成長事業の売上高は9750億円から4.2兆円以上へ、12年間で4倍以上の拡大を図っていることになる。

この目標の姿に近づくには、大胆な改革は避けて通れない。研究開発費や設備投資などの資金が必要で、それを確保するために財務改善は喫緊の課題だ。三菱ケミHDの2020年3月末の自己資本比率は22.8%。ROEは4.2%と低水準にとどまっている。

新社長に就くギルソン氏は、「財務基盤を強化し安定させることが最初の優先事項だ。収益性も改善する必要がある。ポートフォリオの修正や変革をするために、一部を売却することもありうるだろう」と話す。

外国人社長の登用を模索

外国人社長と言えば、コストカッターとして知られた日産自動車のカルロス・ゴーン氏の名前が浮かぶ。三菱ケミHDが今回、ギルソン氏を起用したのも日本人社長では踏み切れない大規模改革の断行と、その一環としての事業整理が念頭にあるのかもしれない。

実際、会見で明らかにされた社長選考プロセスからは、海外人材の登用を積極的に模索していたことがうかがえる。最終候補者の7人のうち、社外候補者は4人で全員が外国人だったという。

前出の指名委員会委員長の橋本氏は、「社内よりも社外、日本人よりもしがらみのない外国人と考えた。改革コストが最も低く、副作用ができるだけ小さそうな人を選んだ」と述べた。副作用が出るほどの改革の実行は織り込み済みで、むしろそれを期待しているかのようにも受け取れる。

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