2 自衛隊のインフラ基盤の強化【108億円】
令和2年7月豪雨等の教訓も踏まえた自衛隊基地の浸水対策などの促進や耐震性の不足や老朽化が進行した隊庁舎の改修など、自衛隊のインフラ基盤を強化するとして、駐屯地等の浸水対策で、5億円。災害等の発生時においても、常続的な部隊運用を確保するため、基盤となる駐屯地等の防水対策として、隊庁舎等の耐震化、29億円。駐屯地等の機械設備等の整備、43億円。
これらも基地が被災してその復旧が必要だったものではない。通常のインフラ整備であり、本予算で要求すべきものだ。災害の多発も別に今年急に増えたものではないし、
3 自衛隊の安定的な運用態勢の確保【3017億円】
防衛装備品の安定的な納入のための経費として2816億円が計上されている。内訳は防衛装備品の安定的な納入のため、納入遅延リスクを軽減する観点から、今後支払いが予定されていた経費の一部の支払いを前倒すために必要として、固定翼哨戒機P-1 、232億円、潜水艦、289億円、 地対空誘導弾ペトリオット、233億円、同じく地対空ミサイル 中SAM(改)、141億円である。
これまた言うまでもないが、これら正面装備は当然ながら本予算の要求項目であろう。本年中に急に安全保障環境が激変したわけでもない。しかも発注後に完成して戦力化されるのはC-2同様に数年先だ。
○ 装備品等の維持整備【37億円】
厳しさを増す安全保障環境や頻発する自然災害に対応するためには、装備品等の着実な整備等を行う必要があるため、航空機・艦艇等の維持整備に係る経費が必要との理由だ。
だがこれも災害派遣などで損耗したものではなく、通常の任務で必要なものばかりだ。
4 その他【6億円】
自衛隊による海賊対処行動や中東地域における情報収集活動に必要な経費で6億円。
これらも今年急にはじまったものではなく、補正予算での支出にするのはおかしい。
防衛費増大の批判を避けるため?
○ 隊員の生活・勤務環境の改善【30億円】
隊員の勤務環境を改善することによる、精強性の確保や集団生活における新型コロナウイルス感染拡大防止を図るとともに、女性自衛官の受け入れ体制の拡充等に必要な経費を計上、としている。
これらは隊員募集難対策として行われたものであって、補正予算で賄われるのが適切といえない。
つまり今回の第3次補正予算の3867億円は、すべて本予算で賄う性格のものだ。先述のように2021年度の防衛予算案5兆3422億円である。これに3次補正予算の金額を加えれば実質来年度の防衛予算は実質5兆7289億円となる。
安倍政権同様、菅政権は防衛費増大の批判を避けるために補正予算を利用していると言わざるをえない。
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