財政法第29条では以下のように規定されている。
○法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行う場合
○予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合
本年度では既に防衛省の第1次補正予算(121億円)および第2次補正予算(63億円)は決定されている。
確かにこれらはコロナ対策として必要な予算措置で、補正予算の趣旨に合ったものだった。だが問題は第3次補正予算の3867億円だ。
コロナ対策というのは強弁
これらはいわゆる正面装備などが主でかつ、防衛省の通常任務に必要なものだ。自然災害やコロナ対処で損耗したものではなく、本年度の予算編成時に予期できなかったものではない。本来は来年度の補正予算に要求されるのが望ましいものである。これらを災害やコロナ対策というのは強弁である。個別に見ていこう。
1 各種災害への対処能力の強化【737億円】
災害時における被災地への人員・救援物資等の輸送を迅速に行うための自衛隊車両を早期に整備するための経費と説明され、3・1/2トントラック40億円、1/2トントラック8億円、被災地での活動の際に必要となる作業服等を早期に整備するためのとして作業服等の整備34億円が要求されている。
さらに急患輸送や災害時における被災者の救援や被災地への人員・救援物資等の輸送を迅速に行うための輸送アセットであるC-2輸送機を整備するためとして、C-2の安定的な取得424億円、C-2用エンジンの取得として177億円、都合C-2関連で600億円が要求されている。
トラックにしても被服にしても、コロナ禍や災害派遣で損耗したものではない。通常の予算で整備されるべきものだ。
特にひどいのはC-2輸送機関連だ。予算額からみると調達数は2機だろう。大型輸送機であるC-2がコロナ対策で必要はないし、災害にしても不整地運用能力がないC-2は必要ない。既存の輸送機でこと足りる。
因みに自衛隊では実は重篤患者を空輸できない。軍用機には乗員用の液体酸素が搭載されているのだが。それは法的な規制があって、他国の軍隊では問題ない医療用液体酸素を機内で使用できないからだ。このため軽症者しか輸送できない。やるならば違法行為となる。筆者は11月の岸信夫防衛大臣に定例会見でこの件を質したが、手をつける感じは受けなかった。
患者輸送が必要ならばC-2の調達よりもむしろ、この酸素の問題を解決すべきだ。法改正には金はかからない。
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