三井不動産、東京ドーム買収後に直面する課題 膨張する財務、ドーム再建に向けては要時間

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東京ドームの買収はハイリスク・ハイリターンな投資だ。東京ドームの時価総額を東京ドームシティの敷地面積13.5万平方メートル(借地含む)で割ると、ざっと坪当たり約300万円で都心の一等地が手に入る計算だ。ドームの建て替えが実現し収益力が一層高まれば、大化けするポテンシャルを秘めている。

だが、大きなリターンには相応のリスクもつきまとう。短期的にはイベント開催や物販、ホテル稼働の落ち込みが避けられず、東京ドームは2021年1月期に180億円の純損失を見込む。来年もV字回復の望みは薄いどころか、コロナ対策としてドームの改修工事に約100億円を投じる。

軟調な本業に加えて、2020年で築32年を迎えるドームを筆頭に老朽化の進む東京ドームシティの維持費ものしかかる。同社は2020年1月期に設備投資として約67億円を支出したが、うち約58億円は東京ドームシティに充てられた。設備「投資」とは裏腹に内訳は維持管理や修繕が大半であり、収益につながる投資とは言いがたい。

他社はリスクを見通せず

この点を嫌ったのが、三井不以外に東京ドームへの出資を検討していた同業他社だ。ある不動産会社幹部は、「都心の不動産が割安に取得できるのは非常に魅力的。だが、イベントや物販が今後どこまで戻るかが見通せないうえ、東京ドームのCAPEX(資本的支出。維持、回収などの支出)も負担だ」と打ち明ける。

三井不としては早く開発に着手したいところだが、ドームの特殊性がそれを阻む。東京ドームシティ一帯は「都市計画公園」に指定されており、厳しい建築規制が課せられている。唯一そびえたつ東京ドームホテルも「特許事業」という特例措置を用いた経緯があり、高層化によって収益床を増やせても開発規制からは逃れられない。

「都市計画公園」指定の改廃には文京区や東京都との協議が必要で、建て替えには時間を要する。言い換えれば、収益性の低い不動産が長期間バランスシート上に滞留することになる。

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