吉田羊「脇役でも視聴者の心を打つ」彼女の真髄 「黒歴史」「熱愛報道」にも負けない女優の存在感
羊姐さんは彼を支える右腕看護師役だが、「羊姐さんのポテンシャルをこんなに鮮やかに間違えるなんて!」と思うくらい。胸元を強調したヒョウ柄のボディコン服で、表面的に肉欲と妖艶をアピール。胸だの尻だの露出だのを小見出しに使う、男性向けメディアの典型。羊姐さんの色気を無駄遣いする制作陣のセンスのなさに呆れはてた。
検事、刑事……「説得力ある適役」の連発
黒歴史はともかく、その後は人気シリーズのドラマにも登場し、知名度を確実に上げた。木村拓哉主演の「HERO」シーズン2(2014年・フジ)では、凛とした持ち味を活かしつつも、同じ職場に自分を裏切った元彼がいるという地獄をコミカルに演じた。インテリジェンスと毒のある検事役はハマリ役だし、羊姐さんの秘めた色気と孤独感の使い方もちょうどよかった。
「ドS刑事」(2015年・日テレ)では主演の多部未華子がドS設定の刑事だったが、むしろ羊姐さんのほうがドS刑事に見えるという矛盾。それでも「若くはない、でも老けてもいない」「媚びていないが、したたかでもない」という特性は、女性刑事像に実にしっくりきた。
刑事役で最もしっくりきているのは「コールドケース~真実の扉~」(2016・2018・2020、WOWOW)である。アメリカ原作の人気シリーズの日本版だが、日本の刑事ドラマにありがちな予定調和と解説過多は一切ない。コールドケース=未解決事件を再捜査する刑事には、知識と経験、適切な温度と距離感が求められる。
また、この主役の女性刑事には、虐待や暴行の被害者としての凄絶な過去がある。かわいいだけが取り柄の若手女優を入れちゃうと台無しになるところだが、羊姐さんに任された。そして期待に見事に応えた。
未解決事件を担当する捜査一課の面々(永山絢斗、滝藤賢一、光石研、三浦友和)の中で紅一点だが、器の大きさと人望の厚さも醸し出すことに成功。海外原作の日本版がちっともうまくいかない中、唯一原作を超えたと言えるドラマで、羊姐さんが担う役割は非常に大きい。
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