「自助・共助・公助」を批判する人の大きな間違い 年金はどっち?知っておきたい社会保障の基本

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このように社会保障においてはそのほとんどが共助で成り立っています。さきほどは老後生活を賄う年金の話でしたが、わが国は医療保険も国民皆保険ですから、病気になればまず健康保険からの給付があり、高額な医療費に対しては高額療養費制度で賄います。公的な医療保険で賄えない部分だけ、自分の貯金や民間の医療保険という「自助」の手段を使って補うことになるわけです。

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もちろん、ここでも公助はあります。生活保護の中で医療扶助という部分があるからです。したがって、社会保障の話になると「自助・共助・公助」という順番は明らかに間違いであり、基本は「共助」であり、それで物足りない人は自由に自助努力で賄うようにすればいいのです。

そして残念ながら共助の枠組みから外れてしまった人は公助であるセーフティーネットで税金を使うことで救済するということになるわけです。

「共助」というのは極めて重要な考え方です。実は戦前の日本は共助ではなく、互助が中心でした。つまり高齢になったり病気になったりすれば、家族や親族で面倒をみる、もう少し具体的にいえば、年取った親の面倒は子どもがみるのが当然という社会だったのです。

今後は「子育ても社会全体で支える」という考え方

ところが日本が高度成長の時代となり、核家族化が進んで行くと互助は成り立たなくなります。そこで昭和30年代から医療や年金において共助が中心となる社会が出来上がっていったのです。年金や医療はその頃から仕組みが出来上がっていますし、介護については2000年から公的介護保険の制度が始まりました。

今日において大事なことはこの「共助」をしっかりと維持すること、すなわち多くの人が制度に参加して社会全体で支えることです。さらにいえば、かつては家族が支えてきた高齢者扶養が次第に社会全体で支えるようになってきたのと同様、今後は子育ても社会全体で支えるという考え方が必要になってくるのではないでしょうか。

大江 英樹 経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表

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おおえ ひでき / Hideki Oe

大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。日本での導入第1号であるすかいらーくや、トヨタ自動車などの導入にあたりコンサルティングを担当。2003年から大手証券グループの確定拠出年金部長などを務める。独立後は「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるよう支援する」という信念のもと、経済やおカネの知識を伝える活動を行う。CFP、日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『自分で年金をつくる最高の方法』(日本地域社会研究所)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。

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