「自助・共助・公助」を批判する人の大きな間違い 年金はどっち?知っておきたい社会保障の基本

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ところが、「社会保障」の話になってくるとこれは少し違ってきます。まず共助があり、次に自助、そして最後が公助となります。

この構造が最もわかりやすいのは老後の生活です。日本は国民皆年金制度ですから、老後の生活を支える最も重要な柱となるのは公的年金保険です。この制度に入っている人、すなわち20歳以上の国民はほぼ、いずれかの公的年金保険に入っていますから、全員が保険料を負担しています。

そして一定の年齢になって働けなくなってきたら、この公的年金保険から年金が支給されるというのが大原則となります。つまり全員が加入している保険制度なのです。

よく国の年金はあてにならないから自助努力を優先すべきだといって、民間の保険や投資をしている人が多いのですが、そういう「自助」はあくまでも「共助」である年金保険制度だけでは不十分だと思えば自分で備えればいいことであり、共助よりも優先すべきものではありません。

つまり老後の生活はまず自助ではなく、最初は「共助」なのです。実際に公的な年金保険だけで生活している人は約半数近く(48.4%)います(※厚生労働省『国民生活基礎調査の概況』〈2019年〉)。

「公助」は生活保護などのセーフティーネット

では公助とは何かということですが、これは社会保障においては生活保護などのセーフティーネットを表します。ここでも年金のことを「公助」と勘違いしている人が見受けられますが、公助はあくまでも最終手段であり、年金保険が防貧、すなわち貧しくなるのを防ぐ仕組みであるとすれば、生活保護は救貧、つまり何らかの理由で貧困に陥ってしまった人を救うというのがその役割なのです。

事実、生活保護によって生活扶養に充てられている金額は社会保障給付費の1%程度しかありません。ほとんどは共助である年金保険の給付が老後の生活費の中心なのです。

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