さて。以下は少し余談になるが、同社はもう一つ、明確なポリシーがあるという。「現在のところ飲料以外の商品サンプリングは考えていない。というのも、『自販機で飲料以外を』というメーカーさんからの要望は結構あるのですが、我々は飲料会社として飲料に拘っているので、ポリシーとして飲料以外の商品には手を出さないことにしている」(同)
この点はあくまでポリシーということなので仕方ないが、少しだけ残念な気がする。
例えば、現在ガムの「クロレッツ」が「オフィスサンプリングキャンペーン」を行っているという(COBS ONLINE)。
ガム100個入りのパックが2箱届いて、それをオフィスで配布してくれる人を募集するという。「ちゃんと配布されるのかしら?」とお節介ながら心配になってしまう。
また、実はオフィスでつまむお菓子としては、実はガムはあまり用いられていないという調べもある(Business Media誠)。チョコレートがダントツ。続いてアメ、せんべい、ビスケットに続いて、ガムはなんと5番目だ。製菓メーカーのガム担当者に以前、取材したところ、「ガムは移動中に用いられることが多い」と聞いた。どうだろう、駅のホームでサンプリングができればバッチリではないだろうか。
いずれにせよ、「mediacure」の駅ホームでのサンプリング、デジタルサイネージ自販機には、新たな可能性が満ちている。
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
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