丸亀製麺に次ぐ稼ぎ頭をトリドールは探せるか 豚丼専門店とカフェはいずれも伸び悩む
「『丸亀製麺』に加え複数ブランドを国内外で展開したい」――。
低価格セルフ式うどん「丸亀製麺」などを運営するトリドールホールディングスの粟田貴也社長は、決算説明の場でそう意気込みを語った。だが、その道のりは険しそうだ。
トリドールはコロナ禍が直撃した外食企業の中でも善戦している。2020年4~9月期は売上高634億円(前年同期比20.7%減)、営業損失27億円(前年同期は営業利益50億円)と営業赤字に陥ったが、7~9月の3カ月に限ると営業利益は黒字を確保した。
うどんのテイクアウトで売り上げは堅調
牽引役となったのが中核子会社の丸亀製麺だ。7~9月期は19.6億円の営業黒字となり、他業態の営業赤字を補った。郊外でラーメン店を展開する丸千代山岡家やギフトなどと同様に、郊外のロードサイド店が堅調な売り上げとなっており、6月以降の既存店売上高は前年同月比でおおよそ10%減を保っている。
さらに丸亀製麺の業績を下支えするのがテイクアウトだ。5月末から全店舗で開始し、7~8月にはテイクアウト限定商品の「氷うどん」を投入、売り上げに占めるテイクアウト比率は10%台で定着している。
丸亀製麺の山口寛社長によれば、「売り上げの4割をテイクアウトが占める店舗もある」という。トリドールの鳶本真章・経営戦略本部長は、「テイクアウト専用の商品と容器を開発するなど、新業態を作り上げるのと同等の労力をかけている。今後も商品ラインナップを拡充しテイクアウト比率を3割程度にまで引き上げたい」と語る。
丸亀製麺が堅調な一方、200~300店舗規模で展開できそうな他業態は育っていない。トリドールで国内事業を統括する田中公博常務取締役は「単一業態だと、せっかく集客が見込める主要幹線道路沿いの土地が空いても、自社競合してしまい出店できない。丸亀製麺の一本足打法ではダメだ」と語り、複数業態展開への意欲を見せる。
しかし、5年前からショッピングセンターを中心に出店してきた豚丼専門店「豚屋とん一」や、7年前に第1号店を出店した郊外型カフェの「コナズ珈琲」は停滞気味だ。
2020年9月末時点で店舗数は豚屋とん一が55店、コナズ珈琲が41店。845店(国内店舗の74.3%)を展開する丸亀製麺とは雲泥の差だ。
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