「自分を持って生きろ」が人生を厄介にするワケ

それでは「両手」がふさがってしまう

「自分らしさ」を注ぎ足しながら、たくましく生き抜きたい(写真:kikuo/PIXTA)

「自分を持てない人」が多くいる理由

よく「自分を持っている人」というような表現を耳にする。周りに流されないとか、揺るがない信念を持っている、というような意味で使われているようだ。おそらく、この場合の「自分」とは「自分らしさ」のことで、それを心にしっかりと所有している、という意味なのだろうと思う。

しかし、「自分を持っている」と言われると、私はどうも「手に持っている」ようなイメージをしてしまう。誰も見たことのない、自分でもよくわからない、謎の「自分らしさ」という塊は、きっと重たくて厄介な荷物だろう。それを手に持っている。

手に持つならカチカチに硬ければまだマシだが、ほとんどの自分らしさはまだフニャフニャで、ともすればぐちゃぐちゃでドロドロしていて、決まった形を保つのが難しく、素手ではとてもじゃないが持ちにくい。そんなものではないだろうか。だからこそ「自分を持てない人」が多くいるのではないかと思うのだ。

だからと言って、カチカチに固まった自分らしさというのもあまり魅力を感じない。いくら持ちやすくても、それだと逆に大きな衝撃で壊れやすいような気がするし、時代の大きな変化に耐えられない、頭が堅そうなイメージがする。

ぐちゃぐちゃでドロドロのほうが、人間味があって面白いと私は思うのだけれど、やはりそれでは前述のように持ちにくくて仕方がない。なので、賢い人は手提げカバンに入れる感じで持っているように思う。いや、あくまで私の空想、イメージの話であるが。

でも、いくらカバンに入れようが、「手に持っている」ことに変わりはない。カバンで片手が塞がっているから、何かにつまずいて転んだら手をつくのが遅れて怪我をしそうだし、何か「手に入れたいもの」や「持って帰りたいもの」を見つけたとき、片手で持てるような小さなものしか持てなくて不便だ。

次ページ自分を失くしてしまうとき
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • 井手隊長のラーメン見聞録
  • iPhoneの裏技
  • 住みよさランキング
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
三菱重工と日立 「統合」破談から<br>10年 製造立国の岐路

10年前に統合構想が破談になった三菱重工業と日立製作所。その後両社は対照的な道を歩み、2009年に伯仲していた時価総額は今や日立が大きく上回っています。本特集では明暗が分かれた三菱重工と日立を主軸に、製造立国・日本の生きる道を探りました。

東洋経済education×ICT