コロナ禍こそ必須「倒産を見抜く」会計の超基本 苦手な人が多い「会社の数字」を武器に変える

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その企業がどの程度倒産の危機にあるのかは、「売上高の減り方」「借入金の大きさ」「もっている現金の大きさ」といった数字を確認しないとわかりません。それらがわかったうえで、倒産の危険性などを判断し、適切に対処すべきなのです。

このように、会計の数字を使うことで、初めて企業の状況を客観的に把握し、評価することができます。

さらに会計はダウンサイドリスク、つまり「悪い方向への大きな変化の可能性を抑えられる点」に大きな意味があります。財務諸表を作成し、それを分析することで、自社や競合企業の状況を客観的に把握できるのです。

数字を使って意思決定のシミュレーションや業績管理をすることでも、客観的な経営管理が行えるようになり、大きな失敗をする確率が下がると考えられます。

一体化する会計とファイナンス

ところで、会計が「企業の立場」から数字を扱うのに対し、「ファイナンス」は「投資家の視点」から数字を扱います。そのため相反するもののように見えます。でも、会計とファイナンスは、このところ一体化してきています。

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投資家が企業を評価する考え方がファイナンス、会計はその投資家に業績を報告し(=財務会計)、その業績を高めるための経営管理に関係するもの(=管理会計)であるためです。この点でも会計を学ぶ大きな意義があるといえます。

会計のベースとなる貸借対照表と損益計算書をつくる会計の仕組みは、700年ほど前のイタリアですでに使われていたといわれています。

会計を別名で「ビジネスランゲージ(ビジネスの共通言語)」と呼ぶこともあるように、細かいルールの違いはあっても仕組みは世界共通です。言葉の壁を越えて活用できるツールなのです。

今回ご紹介した以外にも、会計にはIFRS、ROE、ROA、KPIなど、さまざまな理論やフレームワークがあります。そして会計は、それらの理論やフレームワークの比重が約70%ですから、誰でも一定のレベルまでは確実に到達できます。

新型コロナウイルスの世界的な流行などにより、大きな変化が起きている今、ビジネスパーソンとして生き抜き、かつワンランクアップするために、ぜひ「会計(アカウンティング)」という大きな武器を手にしていただければと思います。

西山 茂 早稲田大学ビジネススクール教授

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にしやま しげる / Shigeru Nishiyama

早稲田大学政治経済学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートンスクールMBA修了。監査法人ト-マツ、西山アソシエイツにて会計監査・企業買収支援・株式公開支援・企業研修などの業務を担当したのち、2002年より早稲田大学、06年より現職。学術博士(早稲田大学)。公認会計士。主な著書に『専門家以外の人のための決算書&ファイナンス入門』(以上、東洋経済新報社)、『ビジネススクールで教えている会計思考77の常識』(日経BP社)、『MBAのアカウンティングがざっと10時間で学べる』(KAOKAWA)などがある。

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