中国鉄道メーカー、欧州進出「試験」で悪戦苦闘 受注・製造はできても「認証テスト」が難関だ

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欧州系メーカーは、新車の不具合といった初期トラブルはさておき、少なくともこうしたテストへ向けたノウハウなどは多く持ち合わせており、その点ですでにCRRCより有利な立場にいるが、それでも認証テストでつまずくことがある。過去数年、CRRCが欧州系メーカーの買収に躍起となっていたのは、現地拠点を迅速に入手できることに加え、こうしたノウハウを得るチャンスでもあったためであることは間違いない。

納期の遅れなく約束通りの期日にイタリア鉄道へ引き渡された日立製「ロック」。納期遅延の目立つヨーロッパにおいて、きちんと期日を守るところは日本メーカーの素晴らしい点だ(筆者撮影)

イタリア鉄道へ納入された日立製作所の新型車両「ロック」(日立社内の製品名カラヴァッジョ)は、滞りなく認証テストをクリアして納期を守ったことは以前の記事(2019年7月2日付「日立の新型列車、『デザインの本場』で通用する?」)で紹介したが、日立がイタリアの旧アンサルドブレダを買収したことが、手続きをスムーズに進めるうえで少なからずプラスに働いたことは間違いない。

CRRCはアンサルドブレダ買収で日立に負け、シュコダを買収する計画も、中国に対するチェコの根強い不信感から地元企業が投資することで阻止された。一時は噂のあったボンバルディアも、打倒中国を掲げた政府の後押しもあり、アルストムに買収された。結局、欧州メーカーの買収には失敗し、自らの力でヨーロッパ進出を目指さなければならなくなった。

難関は「製造」の先にある

CRRCはレオ・エクスプレス向け車両以外にも、「バイソン」と呼ばれるヨーロッパ向け新型電気機関車を開発し、試作車2両をハンガリーの貨物会社Rail Cargo Hungaria(レールカーゴハンガリア)社へリースすることが決まった。

ヴェリム試験場の留置線に停車するCRRC製665型「シリウス」(筆者撮影)

リース期間は4年間で、費用の中にはメンテナンスコストも含まれており、すでに完成して中国から出荷を待つばかりとなっている。計画では、機関車を使ってもらったうえで、4年後にリースから正式な購入に切り替えるか、また追加発注を行うかなどを取り決める予定となっている。

このように製造面においては、欧州大陸への進出を着々と進めているCRRCだが、その目の前には認証テストという難関が立ちはだかる。はたして中国はこの難関をクリアし、ヨーロッパへの進出という悲願を達成することができるだろうか。これからその真価が問われることになる。

橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

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はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

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