納期遅れ相次ぐ「欧州式」鉄道車両開発の弊害 共同開発からメーカー主導への移行が生んだ

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チェコのヴェリム試験線に姿を現した、シュコダ製ドイツ鉄道向け新型2階建て客車。営業開始のゴーサインはまだない=2020年8月(筆者撮影)

今から約2年前の2018年9月、ドイツのベルリンで2年おきに開催される国際鉄道見本市「イノトランス」の会場に、真新しい2階建ての客車が展示された。真っ赤な車体に、ドイツ鉄道のロゴ。ドイツ南部の主要都市、ミュンヘンとニュルンベルクの間を結ぶ快速列車、「ミュンヘン・ニュルンベルク・エクスプレス」用に、ドイツ鉄道が発注した新型客車と機関車である。

ミュンヘン・ニュルンベルク・エクスプレスは、両都市間を最高速度200キロで結ぶ特別料金不要のローカル列車として、2006年12月のダイヤ改正から運行を開始。車両は、元インターシティ(特急)用だった客車を格下げして使用している。

この列車に使用される客車は、古いもので1960~70年代製造と、すでに40~50年以上経過して老朽化が目立っていたことから、新型車両への置き換えが急務となっていた。ドイツ鉄道が、代替用新型車両の発注先として最終的に選んだのは、チェコの車両メーカーであるシュコダであった。

2016年納入の予定がいまだ運行できず

シュコダは、すでに地元チェコ国内やスロヴァキアへ納入実績のある、同社の汎用型電気機関車109E型と、新設計の2階建て客車をドイツ鉄道へ提案し、2013年8月に1億1000万ユーロ(約138億円)で正式契約を結んだ。契約では、客車6両編成と機関車、それぞれ6編成分を2016年までに納入し、旧型客車を置き換える予定だった。

2018年のイノトランスに展示された、シュコダ製2階建て客車(筆者撮影)

ところが、蓋を開けてみればドイツ連邦鉄道局(EBA/Eisenbahn-Bundesamt)の認可は一向に下りず、何度も運行開始が延期されることになった。2018年11月には、EUの定めるTSI(Technical Specifications for Interoperability/相互運用に関する技術仕様)認証を受けており、営業運転へ向けて一歩前進したかに見えた。

2019年12月、EBA当局は「承認プロセスが大幅に進んだ」と声明を出し、機関車・客車とも部分的に運行が承認されたことを明かした。少なくとも、ドイツ国内での運行が認められたのだが、ドイツ鉄道側は「完全なる承認以外は認めない」として、車両の受け取りを拒否している。結局2020年8月現在においても、運行開始には至っていない。

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