東武「SL重連」コロナ禍の有料イベントで新機軸 GoToも積極活用、ツアー限定SL試乗で鉄分補給

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12月6日、東武鉄道は南栗橋車両管区で「東武プレミアムファンツアー」を開催した。イベントの目玉は2両の蒸気機関車を連結し、客車3両を牽引する「SL重連運転」だ。

同社はJR北海道から借り受けた「C11形207号機」を使い、2017年の夏から東武鬼怒川線の下今市―鬼怒川温泉間(12.4km)で「SL大樹」を運行している。今年7月には栃木県の真岡鉄道が運行していた「C11形325号機」を譲り受けた。

SLが2機体制になることで、現在SLとディーゼル機関車(DL)で分担して運行している1日4往復をすべてSL牽引にすることや、片方が定期検査中でもSL運行を継続することが可能になる。325号機は12月26日、東武鬼怒川線にデビューする予定。SL同士がすれ違う様子にもファンの注目が集まりそうだ。同社はさらに、2021年冬の完成を目指して3機目となる「C11形123号機」の復元作業を進めている。

ツアー参加者限定のイベント

晩秋の青空が広がったこの日、車両管区内でC11形の325号機と207号機が連なって客車を牽引する姿が披露された。客車に乗車できたのは「試乗会ツアー」の参加者のみ。東武トップツアーズが企画・実施する旅行で、北千住発着の「100系スペーシア」「634型スカイツリートレイン」、浅草発着の「200系りょうもう」の3つの臨時列車によるコースが用意された。試乗会のほかSL検修庫の見学や、オリジナルの弁当、記念品といった特典付きだ。当日はそれぞれ223人、76人、81人が参加したという。

重連運転の前がC11形325号機、後ろが同207号機(記者撮影)

SL重連の編成は車両基地内の訓練線1.1kmを6往復。ツアー参加者は、客車の乗り心地と迫力あるSL重連の撮影を楽しんだ。検修庫内では復元作業中の123号機の主台枠(フレーム)や運転室、取り外した部品を展示。そばで担当者が「足りない部品でも、自分たちで作れるものは工作機械で製作しています」と説明していた。

同日、これらとは別に東武宇都宮線から引退した「350型」による特急「しもつけ」臨時列車ツアー(東武宇都宮9時40分発・南栗橋10時50分着)も実施した。こちらはSLの試乗会の設定はなかったが、250人の募集人員に対し、242人が参加する人気ぶり。車両本来の魅力に加え、同ツアー参加者限定で実施した鉄道コレクション(350型4両編成の模型)の先行販売会がよりハイレベルのファンを引きつけたようだ。

東武鉄道が南栗橋で同日実施した特別企画はほかにもある。SLの重連運転に先立ち、車両基地に隣接する総合教育訓練センターでは、小学3~6年生を対象に親子で学ぶ「ダイヤ作成教室」を開催した。同社の子供向けサイト「と~ぶキッズ」の募集型イベントの位置づけだ。ダイヤ作成教室は事前にホームページで20組の親子の参加を募集したところ、78組の応募があったという。

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