ボルボのようなロンドンタクシーは何が凄いか LEVC製の「TX」をとことん乗って試してみた

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反対車線の歩道に手を上げた乗客を発見!……したことを想定して広場でUターンを試みると、大きなボディサイズからは想像できない小回りを見せた。ステアリングをフルロックさせた(左右どちらかにいっぱいまで切った)状態での転回は、テーマパークのちょっとしたアトラクションに近い動き。大げさにいうと自分を軸にしてクルクル回るようなイメージだ。

冷静になって最小回転半径を調べてみると4.012m。小回りできると話題のホンダ「Honda e」ですら4.3mだから、TXはやっぱりスゴイ。画像で確認できるようにタイヤの切れ角度にしてもとても大きい。これならほかのどんなタクシーよりも早く乗客のもとへ滑り込める。

タイヤの切れ角度はとても大きい(筆者撮影)

実際にはオーバーハングといって、前タイヤの前部分で941㎜、後タイヤの後部分では930㎜、それぞれボディがでっぱるので外輪差を考え狭い道での転回には相応の車両感覚が求められるが、前述のとおり死角が少なく、見切りのいいスクエアなボディだから、プロドライバーならすぐに感覚がつかめるはずだ。

0→100km/h加速は13.2秒

LEVCによると100㎞/hまでの加速時間は13.2秒と、タクシーが業務の中で求められる加速力は持ち合わせている。乗客の頭が後ろに大きく揺れないよう緩やかに発進、その先はイライラさせないよう適度な加速を行うことがタクシーには求められるが、電動駆動ならではの滑らかな加速フィールはそうした現場でもしっかり活かせることがわかった。

バッテリーをフル充電し燃料タンクにガソリンを満タン(36L)にした状態での走行可能距離は510.1㎞(ピュアEVモードでは126.6㎞)となる。これは欧州仕様のカタログに記載されている「レンジ・エクステンダー市街地モード」での値。レンジ・エクステンダーでの燃費数値は10.6㎞/l。充電は普通と急速それぞれに行え(11kW交流/50kW直流)、急速充電は日本発のCHAdeMo規格に準じたソケットに対応する。

急速充電は日本発のCHAdeMo規格に準じたソケットに対応(筆者撮影)

ところで、ボルボといえば先進安全技術群である「インテリセーフ」が有名だ。TXではインテリセーフを名乗らないものの、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報、道路標識インフォメーションシステムなどが機能する。ステアリングスイッチや警報ブザーもボルボ各モデルと統一されるなどHMIの領域における共有化も確認できた。

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