TXの外観はまさしく伝統あるロンドンタクシーのそれ。観音式のドア(手動式)開け、乗客になった気分で乗り込んでみると車内はとても明るく、ユニバーサルデザインを採り入れたすっきりとした印象がある。天井は「パノラミックグラスルーフ」と呼ばれるスモークガラス張り(ほぼ全面!)だからとても開放的で見晴らしが良い。
シートはミニバンでいう2列目と3列目が向かい合う対面形式。普段は3列目を使い乗車人数に応じて跳ね上げ式の2列目を使う。3列目シート位置はトヨタ「ジャパンタクシー」の後部シート位置と同じく後輪タイヤのほぼ真上にあたるが、専用タイヤ(215/65R17)の関係もあり、ギャップ通過の上下動はやや強め。今回は筆者ひとり+ドライバーの2名乗車だったが、定員乗車の7名であれば滑らかな乗り心地が期待できそうだった。
もっとも車内配置はよく考えられていて、後部左ドアから入ると2列目シートは中央、そして奥のシートに向かって約20㎝ずつ3列目シート方向へとオフセットされている。これにより2列目位置に車いすのまま乗車が可能に。
また、車いす用のスロープは後部左ドア下側にあたる乗客の足元スペースに格納されていて、ドアを開けそのままスライドさせるだけ使用可能だ。車いすを利用する乗客への乗降サポートは乗務員であるドライバーの役目であり、日本では二種免許取得講習時の実技に含まれているが、TXならサッとサポートが行える。
車内はとても静か
荷物は大小にかかわらず車内に持ち込むスタイル。TXには車体後部に独立したトランクルームが設けられているが、応急用タイヤや充電ケーブルを収納する場所として割り切られた。
美点は車内がとても静かなこと。電動駆動車なので当たり前だが、ボディ本来の静粛性がとても高い。大きな開口面積をもつ観音開きドアは開け閉めにちょっと苦労するほど重めだが、バタンと閉めると一気に車内は静寂に。
前席とは厚めの透明アクリル板で仕切られている。料金決済用の小窓があるが、ドライバーとの会話には専用の双方向スピーカーシステムを使う。
働くクルマなので実用性を最優先としながらも、たとえばパワーウインドはスイッチの押し/上げ速度に昇降速度が同調する。「あれ、どこかで体感したな」と思ったら、まさしく現行ボルボシリーズのパワーウインドシステムだった。それだけでなくドアノブやメーター、車内あちこちにボルボ感がいっぱいだ。
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