英国「7つの階級」調査が教える政治のあり方

新しい不平等の台頭に政治はどう対応するか

一方、2つの両極の間には、中間の多くの階層が存在する。中流階級と労働者階級の区別は、何世紀もの間、イギリスの社会と文化に深く刻み込まれてきたが、こんにちでは、その区分は意味を失い、文化的遺産だけが生き延びている。

新しいエリート階級の台頭

このような階級の境界は閉鎖的ではなく、とくに中間層では、社会流動性は活発だ。とはいえ、そこには資本の蓄積が必須であり、有利な立場にある人々が資本という強い競争力を得ることによって、エリートの仲間入りをする機会がはるかに増えることも事実である。

このことは地理的な力学によっても、大学などのエリート養成機関の役割によっても、はっきりと示されている。現代の私たちは、かつての貴族階級とは異なるエリート階級が形成されているのを目の当たりにしている。これはほかのどのグループよりも著しく有利であるという点でも、非常に際立った存在である。

この新しい階級モデルは、従来の階級の政治に大きな課題を提起している。ここ数十年にわたり、国民の政治動員の手法として利用されている社会学的視点をまず検討するならば、「労働者階級の政治」に注目することは、こんにちではほとんど得るものがないと言えるだろう。それは、かつては中流階級と労働者階級の分断を利用することが政治動員の中心だったということだ。

こんにちの政党は、職業による階級とは結び付いていない。これは大きな歴史的転換である。1983〜1984年の(職業で定義した)各社会階級の政党支持率では、階級による相違は明白だ。

経営職、事業主・自営業者、(やや割合は少ないが)専門職の多くは保守党を支持し、少なくとも労働党の2倍になっている。対照的に、肉体労働者階級の人々は労働党を支持し、保守党の2倍だった。古い階級の政治が、さまざまな職業階級の政党支持率に明白に表れているのがわかる。

(出所:『7つの階級:英国階級調査報告』)
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