英国「7つの階級」調査が教える政治のあり方 新しい不平等の台頭に政治はどう対応するか
「階級」は歴史を形作ってきた
1980年代、90年代には、多くの学者や政治家がその著書の中で、「階級の死」と「個性化」にもとづいたポストモダンの社会秩序の到来を宣言した。しかし、本書ではそうした善意の見解に異議を唱えてきた。
本書は、階級構造の中央部にいる多数の人々と並んで、頂上の富裕なエリートと底辺のプレカリアートとの間の本質的な格差に注目することによって、21世紀の階級の重要性を認識する方法として、より想像力に富んだ扉を開いてきた。
階級をどう考えるかは政治の問題に帰結する。それは今も昔も同じだ。階級は単なる抽象的な社会学的分類ではない。階級が重要であるとすれば、階級が政治論争を引き起こし、それによって歴史を形作ってきたからである。
では、本書の憂慮すべき報告は、こんにちの緊迫した政治状況にどのような影響を与えうるだろうか。格差が拡大する中で労働党が敗北した2015年の総選挙は、中流階級と労働者階級の区別にもとづいた古い階級のモデルの破綻と理解することができ、保守党の勝利は、本書で私たちが展開してきたアプローチの有用性の証明だと解釈することもできる。
ここ数十年の間にイギリスでは新しい不平等が拡大している。とくに経済格差は甚だしい。これは、大きな恩恵を受けている最上層にいる少数の「普通の」富裕なエリートと、あらゆる重要な経済的資源を持たない最下層にいる大量のプレカリアートとの間に、大きな階級格差を生み出すことになっている。
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