いつになれば普及する?EV充電器の問題点 巨額補助金の次は、自動車4社で充電会社設立

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設置が増えないEV充電器。写真は日産自動車のリーフ

自動車メーカーが電気自動車のインフラ整備に躍起になっている。トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、三菱自動車の自動車4社は共同で、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)向けの充電インフラ会社「日本充電サービス」を、5月26日に設立した。政府系金融機関の日本政策投資銀行も出資する予定で、政投銀出資後は、自動車4社が各21.35%ずつ、政投銀が14.6%の出資構成となる。代表にはトヨタの国内営業を担当する佐藤康彦常務役員が就任した。

日本充電サービスは、充電器の設置者に対して、政府の補助金で補填されない分(本体・工事費などの設置費用の3分の1)を支払うほか、維持費や電気代などランニングコストも肩代わりする。この支援の対価として、日本充電が充電器の利用権を取得、一括して管理する。

日本充電は、会員認証を行うICカード(充電カード)を自動車メーカー4社に発行。各自動車メーカーはそれを自社のEV、PHVユーザーに提供し、料金を徴収する。充電カードを持つユーザーは、日本充電のインフラであればどこでも充電できるようになる。また、外国車など4社以外の利用者に対しては、日本充電が直接サービスを提供する予定だ。月額課金制や従量都度課金制といった課金方法や料金水準は各メーカーが独自に決める。

3月末時点で、全国に設置された充電器は、急速充電が2000基、普通充電は3000基。日本充電は年内にサービスを開始する予定で、12月末までに急速充電4000基、普通充電8000基の合計1万2000基の整備を目指す。

補助金1000億円も不発

今回、各メーカーが共同で新たな充電会社を設立したのは、充電インフラの整備が思い通りに進んでいないためだ。電動車両、とりわけEVの普及には充電インフラの充実度も大きな要因となるが、これまでさまざまな政策支援が行われてきたにもかかわらず、いっこうに充電器は整備されなかった。

直近では2013年に経済産業省が1005億円の補助金を計上。それまでの制度より補助率も大幅に引き上げ、2014年3月までに急速充電器4万基、普通充電器6万基を整備すると掲げた(基数はガソリンスタンド並みの充電カ所数を整備するところから算出された)。だが、設置者は少なく、不発に終わっている。

テコ入れのため、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、三菱自動車の4社が、昨年11月に共同での資金支援事業を開始した。今回の日本充電はこの事業を会社化したうえで、政府の資金をさらに獲得したということになる。

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