東大、外資コンサルを経て、農家になった男 【キャリア相談 特別対談】 塩野誠氏×木村敏晴氏(上)

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木村敏晴(きむら・としはる)
1977年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、 Bain & Company(東京、ロンドン)勤務。その後、ワタミに入社し、取締役CFO、ワタミファームCOOを歴任。 現在軽井沢を基点に、 農業およびその周辺ビジネスを行うとともに、 若者の新規就農支援、農業生産法人支援等を行う

木村:海外でインターンしたかったのですが、英語も下手で専門もちゃんとしていない日本の学生は、海外の会社は受け入れてくれないんですよ。それで、日本企業の海外支社ぐらいしかチャンスがなかった。

実際に総合商社でインターンをしてみると、思った以上に「日本の会社」だと私は感じました。マネジメント職は日本人しかなれない雰囲気だし、社内日本人ソサエティでビジネスを進めている感じがしたのです。これは、私があこがれている「海外で勝負」というのとだいぶイメージが違いました。

そんな中、海外の友人にどんな就職をするのか聞いてみると、どうやらみんな外資系金融かコンサルに行きたいらしい。それで自分も投資銀行とコンサルという存在を知って受けてみました。いろんな方と会わせていただきましたが、投資銀行のほうは、私には仕事のイメージがうまく湧いて来なかった。コンサルのほうは、こういうふうな人がコンサルタントで、こんな仕事をするんだというイメージが湧いたので、コンサルタントになりました。

入社早々からマイナス評価

塩野:東大法学部にいたのに、弁護士とか官僚になろうとは思わなかった?

木村:まったくなかったですね。実はうちの親族はわりと官僚がいたりするのですが、僕はあまのじゃくな性格なので、子どもの頃からいいイメージがなかったのです(笑)。

塩野:でも東大法学部にいると、民間に就職するのは珍しいじゃないですか。

木村:実際、友人にも官僚が多いですね。でも僕はそっち系の試験がそんなに得意じゃない。大学はほぼ数学だけで入ったので、経済とか法律の試験は、受けても受からなかったと思います。

塩野:コンサルティング会社に入ってみて、いかがでした。

木村:いやもう、入社早々、クビになるかと思いました。年に2回人事評価があって、2回連続マイナス評価だとクビになってしまう。普通、入社半年でそれほど厳しいことは言われないはずなのに、初回でいきなりマイナスをくらってしまった。しかも、「careless by nature(君は生まれつきミスをしやすい)」と。生まれつきと言われても……今更、取り返しつかないじゃないかと(笑)。

塩野:それはしびれますね(笑)。

木村:だいぶ学生気分が抜けたと思います。感謝ですね。どうしたもんかなーと悩みましたが、不得意なことを頑張るよりは、自分の強みで勝負しようと開き直ったら、なんとか続きました。

塩野:外資系のコンサルティング会社なんて、頭はいいけど人間性は問題あるような人がいっぱいいる。そういう中で、競争心があるほうでしたか。

木村:えーっと、鈍感なのかもしれませんが、頭の回転とか論理的思考とかでは根拠のない自信がありましたね(笑)。ただ社会人として、大人として、自分はヤバイと思うことが多かった。

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