さて、本題に入るが、当社が運営している社員クチコミ・転職就職サイト「OpenWork」は、厳密な審査を経て公開している1000万件以上の社員クチコミや会社評価スコア、残業時間、有給休暇消化率を掲載している。
今回の分析では、OpenWorkに掲載されている会社評価スコア・社員クチコミと、業績との相関関係を調べた。分析対象は、業績開示がされており、比較的クチコミ件数が多く集まっている東証1部上場企業(約2000社)に限った。
OpenWorkの会社評価スコアは、「風通しの良さ」「人事評価の適正感」「20代成長環境」「法令遵守意識」「待遇面の満足度」「人材の長期育成」「社員の士気」「社員の相互尊重」の8つの項目で成り立っており、投稿者の回答を集計してそれぞれ1〜5の5段階評価でスコアをつけている。またそれらのスコアから導き出される「総合評価」と、回答者のデータから算出した「有給休暇消化率」「残業時間」が集まっている。
人や組織の状態が、翌年以降の業績指標に影響するという仮説のもと、クチコミデータに関しては2016年以降のものを、業績データに関しては、その翌年にあたる2017年以降のものを活用している。ある年の組織がどのような状態(評価されている状態)であれば、その翌年の業績はどうなっているか(上がるor下がる)を毎年調査していき、傾向をつかむ。
また今回は2つのグループに分けて研究を行った。業績が元々良い企業群と、業績が元々悪い企業群とに分けた。具体的にはROA(総資産純利益率)が相対的に高い会社と、低い会社に分類している。意図としては、この2つのグループを混ぜたまま調査をすると、クチコミとは関係なく、業績が良い会社はクチコミのスコアも高く、翌年もその業績のおかげでクチコミスコアも高くなるし、業績も良くなる、という仮説を排除するためだ。
前置きが長くなったが、分析結果について共有していこう。
好調企業をさらに加速させる条件
まずはROAが相対的に高かった企業群、好調企業から分析したい。以下の表を見ていただきたい。これは、8つの会社評価スコアと総合評価、有給休暇消化率、残業時間が、翌期の業績(売上高営業利益率、ROA、売上高成長率)とどれだけ相関があるかを示したものだ。青地が濃いほど相関性が高く、赤地が濃いほど逆相関(数字が高くなるほど一方の値は低くなる)であることを示している。
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