統合で目指すのは社員を雑草のように強くすること 高須武男 バンダイナムコホールディングス社長

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 --バンダイはプロデュース型の商売が得意ですから、バンダイがナムコをプロデュースすればいい。
 
 ナムコにはじっくり考える、というよさがある。新しいことをするときもじっくり市場調査する。考えるよりもまず行動するバンダイとは対照的です。その違いは、扱ってきた商品の違いでもある。バンダイは単品商売が中心だからスピード重視。ナムコは数億円かけて施設までつくってしまうわけだから、やってみてダメだったではすまない。
 
 どちらがいい悪いではなく、その二つの中間で、足して1・3ぐらいで割ったところに新しい答えがあるはずです。それぞれのよさを失ってしまったら統合は失敗でしょ?
 
 --ただ、マネジメントという点で持ち株会社が大組織を束ねるケースであればバンダイ優位では?
 
 そうか、そう言わせたいな(笑)。しかし、そうともいえない。ナムコの中にも優秀な経営者はいるし、グループ内の経営者同士がお互いを見て学習している。経営を束ねる人という意味では、私の後継も含め、これから何年か後に答えが出る。
 
 --バンダイ社長就任から数えて9年目。後継者は意識しますか?
 
 もちろん。私はサラリーマンですからバトンをつなぐのが役目。バンダイ時代からそれは意識していて、バンダイの社長は上野(和典)君にスムーズに引き継げた。
 
 --候補はもう絞り込んだ?
 
 3人くらい。「あいつ、まだ自分のことばかり言っている」と観察したり、「もっと大きな物の見方はできないのか」と追い込むようなことを言ったり。面白いですよ。
 
 --追い込まれるほうはたまりませんね(笑)。先頃バンダイビジュアル等2社の非上場化などの組織再編を発表しました。ポートフォリオ整理はこれで一巡ですか。
 
 われわれは基本的にコンテンツを多数抱えるコンテンツホルダー。であればデジタルコンテンツの出口戦略をどうするかが重要です。これまでは携帯電話に流す会社、映像・アニメで流す会社、ゲームソフト会社と縦割りでしたが、もしかしたらコンテンツ制作会社を一つ構えて、それをあらゆる出口に対応させるというくくり方も考えられる。
 
 --新中計では次世代型のバンダイナムコ像が示されると?
 
 一挙にいくかはどうかは別にしても、最終形としてはデジタルコンコンテンツを軸に、有機的につながった会社にしたいと思います。
(週刊東洋経済:山崎豪敏編集長、勝木奈美子 撮影:吉野純治)

profile
たかす・たけお
●横浜市出身。1968年早稲田大学卒。同4月旧三和銀行入行。DDI(第二電電)出向、ロサンゼルス支店長等を経て96年4月バンダイ入社。99年3月同社社長。2005年9月より現職。

※高須の高は正しくはハシゴダカです

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