統合で目指すのは社員を雑草のように強くすること

高須武男 バンダイナムコホールディングス社長


 --今日も、まさにそこが聞きたくて来ました(笑)。
  
 私は経営統合の目的は、個を強くすることだと思う。社員一人ひとりがもっと雑草のように強くなってほしい。私は銀行員出身ですが、銀行の外に出て仕事をすることが多かった。その経験から言えるのは、一つの組織で純粋培養されるより、他人の飯を食ったほうが、いろいろなケースにぶち当たって強くなるし、能力も伸びるということです。

バンダイとナムコの社員が互いの生き様、強み、弱みを目の当たりにすることによって成長し、魂が交じり合って初めて新しい商品、新しいサービスができてくると私は思う。

--ダイムラークライスラーからAOLタイムワーナーまで、世紀の大統合はその多くが失敗しました。日本の同業でも同じで、一足先に統合したセガサミーは今人員整理に走っている。統合って本当に有効な戦略でしょうか?
 
 成否を分けるのは文化の統合です。当社でいえばバンダイでもナムコでもない、バンダイナムコの文化ができるかどうか。2社はともに自力で生き続ける選択肢もあったが、これからの時代はいろいろなポートフォリオを持たないと生き残れない。事業の柱が複数あれば、どこかがグラついてもほかで支えられる。この柱をより強くするのと同時に、それを土台にして新しいことに挑戦する必要もある。経営統合は数字上の足し算だけじゃない。異なる文化が融合することで無形の価値が生まれる。バンダイナムコとしての新しい文化、ソフトが提供できるかどうかがカギです。
 
 --ポートフォリオ型なら、2社といわずに、もう1社くらい加わっても問題ありませんね。
 
 今はバンダイとナムコの融合で手いっぱい。でも、バンダイナムコらしさというものにはゴールはない。完全に出来上がってから次のステップに進むということではなく、つねにそこに向かう過程です。混沌の中に、また新しい仲間が入ってくる可能性はある。それは世の中がどういうふうに動いていくか次第です。
 
 --文化の統合は進んでいる?
 
 バンダイは基本的に自分たちのキャラクターへのこだわりが強く、それを深く掘り下げていく文化。まず挑戦ありきで、ダメだったらすぐ引く。そこは変わらない。ただ、ナムコと一緒になったのを機会に、ナムコの保有するキャラクターを掘り起こしたり、見直そうという動きが徐々に出てきています。一方、ナムコ側は、バンダイのコンセプトを店づくりに取り込んで顧客の年齢層を低くするとか、ファミリー層を対象にするとか、バンダイのやり方を研究しようという流れになっている。
 
 ゲーム事業については1社に統合してしまいましたので、もうどちら出身かわからない状態ですね。
 

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