ヤフー、「シリコンバレー現法設立」の算段 米ヤフーのお膝元でベンチャー企業を青田買い

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YJ Americaの業務は、「有望なスタートアップ企業の早期開拓による、支援とコンサルティング」(坂本氏)だ。ネットサービスのタネを見つけ日本に送り込むことで、ヤフーとのサービス連携などの可能性を探っていく。「重点領域は特に絞らず、広告、メディアなど多方面で情報収集する」(同)。米国拠点というとベンチャーキャピタルが行うような投資活動を連想しがちだが、YJ Americaはそれが目的ではない。

米ヤフーとのライセンス契約は、2012年度の有価証券報告書に「日本市場のためにカスタマイズされローカライズされたヤフー・インクの情報検索サービス等の使用複製等に係る非独占的権利」などと記載されている。つまり、ヤフーが手掛けるサービスは日本市場向けに限定されており、米国で直接収益を上げることはできない。よってYJ Americaは、あくまで日本における収益拡大を目指す拠点として新しい芽を発掘していく予定だ。

イー・アクセスの買収資金を活用も

ヤフーは2012年6月にインドのBhartiグループと合弁会社を、2014年5月に英国で広告の営業拠点を設立しており、日本以外の拠点設立は今回が初めてではない。また、これまでも海外企業と連携して日本でのサービスを発展させてきた。特に広告分野は事例が豊富だ。

2012年8月には仏クリテオと提携し、広告主のウェブサイトを訪問したネットユーザーに対して広告を表示する、リターゲティング広告の配信を開始。2013年11月には米ブライトタグとの提携を強化し、ビッグデータの収集・分析技術を広告配信に活用している。今回の現地法人設立により、こうした動きをさらに加速させる。

ヤフーの宮坂社長が進めてきた「プロジェクトDEJIMA」が現地法人設立につながった(写真:今井康一)

折しも、ヤフーはソフトバンクからのイー・アクセス買収を5月19日に中止したばかり。ソフトバンクに渡る予定だった4500億円の資金を活用すれば、米国のスタートアップ企業を開拓し、ヤフー自身の次の成長につなげることもできよう。

坂本氏は「年内に何らかのトライアルをしようと思う」と意気込みを語る。YJ Americaは、今後のヤフーの成長を左右する可能性を秘めているといえそうだ。

長谷川 愛 東洋経済 記者
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