ワクチンの到着にも期待が高まる。ロベルト・スペランツァ保健相は、2021年の1月末までに最初の34万回分を接種予定(2回の摂取が必要なので17万人分)と発表し、「ワクチンによって、(コロナの時代は)新しいフェーズへと道が開かれる」とコメントした。ただし「ワクチンを義務化はしない」とも。最初に接種できるのは、感染した場合の危険が一番大きい老人ホームの入居者とスタッフ、そして医療従事者の予定だ。
明るいニュースが増えてきたものの、コロナウイルスの二度の感染拡大がイタリア経済に与えた打撃は深刻だ。カトリック系社会救援活動団体のカリタスの調査によれば、この秋、新たに貧困になった人の数は前年同時期の31%から45%に増加し、カトリック教会の保護団体から食べ物の援助などを受けているという。
そして農業生産者団体のコルディレッティによれば、今年400万人の人がクリスマスに食べるものがない可能性があるという。イタリアの人口は約6000万人だから、約6%にもなるということだ。政府はさまざまな経済援助策を講じてはいるが、第1波の時の政府補助金をやっと受け取ったばかり、などという人も多いというのが実情だ。
「助け合い」が各地で起きている
そんな中、民間レベルの助け合いが各地で起きている。第1波のときにもスーパーマーケットで余分に買い物をして指定のカゴに入れておくという動きや、街の各所に箱があり「可能な人は何か入れて、可能でない人は取って」という活動があった(現在も続いている)。
私の住むピエモンテ州トリノという街は、常設の青空市場がとても多いのが伝統で、中でもヨーロッパ最大級と言われるポルタ・パラッツォ市場では、毎日午前中、新鮮な野菜や果物、肉に魚、チーズなどの加工食品が売られ「トリノの台所」とも呼ばれている。そんなトリノの市場の商店主たちが集まり、毎週土曜の午後、その時点での売れ残りを必要な人に無料配布するという活動「サバト・サルバチーボ(食べ物を守る土曜日)」も起きている。これは困っている人を助けるだけでなく、食料廃棄問題にもメスを入れる活動として評価されている。
同様にトリノのレストラン約20軒が集まって、必要とする人に料理を提供する「クチーナ・ソリダーリ(助け合いキッチン)」プロジェクトも始まっている。カジュアルなトラットリアからミシュランのスター付きレストランまで、さまざまな形態のシェフたちが集まり、自らも休業を余儀なくされていながら、すでに3万5000食を提供したという。
無償の助け合いをする人々の話は私たちの心を温め、アフターコロナな未来に向かう希望と活力を与えてくれる。
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